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Dream Quest 本編67

「どうしたの?」
そう聞くと少女は止まって答えようとしたが、彼女のガイドは、こちらに見向きもしないで少女の手を引っ張って何処かへ連れて行こうとしている。
「あのっ、ビクトリアが…アレが近くに来てるから逃げようって言うんです」
「アレ?」
「こないだ襲ってきた子だと…」
「そいつ今近くにいるの?って、君…そのこと覚えてるの?」
俺は思わず聞き返していた。
「え…あの、さっきまで忘れてたんですけど、ビクトリアがアレとか逃げるとかいうので、アレじゃあ何の事だかさっぱり分からないよ、なんでもかんでも逃げるのはもう嫌だよって怒鳴ったら…記憶を返して?くれて…それで今は思い出しました…」
「そいつ何処にいるの?」
「タツヤ君?」
サトコさんは俺の腕に手を当てて心配そうな顔をしていた。
「俺達は、たまたままだソイツと出会っていないだけで、どこかで、たまたまバッタリ会うと襲われる可能性があるんですよね?
ソイツがすぐ近くに居るって聞いても俺達はソイツの顔すら見ないまま、この場から撤退なんですか?
俺達は襲われた人にも会ってるし、今だって誰かが襲われているから近くにいるんですよね?
それでもし自分が襲われたら、とりあえず記憶を消して、めでたしめでたし!だって…そんなの冗談じゃないですよ…」
「彼らは強化パーツというのを高額の現金で買っては自分のガーディアンを強くしてる戦闘馬鹿ばかりなのよ!?蒼君でも勝てるかどうか…」
「タツヤがソイツの面ぐらいは見ておきたいと言うのなら俺様は別に構わんが?
ガーディアンとやらも、とりあえず見ておけば強さぐらいは解るだろ…
その代わり俺様が壊れても誰にも文句は言うなよ?タツヤ」
蒼は笑っているような顔をしているが、それ以上に緊張しているのも伝わってくる。
(蒼は、アイツらが近くにいるからデーターを既に見てて強さを知ってるのか?蒼には絶対勝てない…?)
俺は俺の自己満足なつまらない意地?正義感?で、浅はかな事を言ってしまった気がした。
(こんな事もっとよく調べてからでもよかったのに…今日とか今じゃ無くてもよかったはずなのに…)
「おい!辛気臭い顔してないで、見たいのか逃げたいのか忘れたいのかサッサと決めろ!」
「蒼…俺どんな奴か見てみたい」
「じゃあいくぞ!」
俺と蒼は、できるだけ足音を立てないように走りだした。
俺は振り返って少し大きな声で告げた。
「サトコさんは彼女達と逃げていてください」
俺と蒼は相手の声と相手の姿が確認できる程の場所で自分達は見えないように草陰に身をひそめて様子をうかがった。
俺は気になる事が幾つかあったので小声で蒼に尋ねた。
「ねぇ蒼、消去された記憶って元に戻せるのか?」
「消された記憶など簡単には戻らん!本人の記憶を戻したのではなくガイドの記憶を移したんだろうな?」
「そっか…ねぇ…蒼は相手の強さとかわかるから、もう知ってるんだよね?」
「全部が解るわけではないがな?」
「怖いとか戦いたくないとか、そんな風に思う事は無いのか?」
「残念だが何が怖いとか何が悲しいとか、他者を客観的に見て判別できるだけの情報としての知識は持っているが俺様自身は未経験の分野なので理解はできていない」
「ああ…そうなんだ…」
(蒼は生まれたばかりみたいなものだから出来事としての体験がないんだよな…でも蒼も戦ってどうしようもないほどに負けたら恐怖とか感じるようになるのかな?…)
「蒼…俺は怖いよ…?」
「何にだ?」
「えっ?何に?」
(そんな風に聞かれたら…いったい何が怖いんだろうな…負ける事が?傷つく事が?どうなるかわからないという事が?それとも全部?)
「よくわからないけど、たぶん全部まとめたら怖いになったんじゃないかな(苦笑)」
「それが人間の正常な状態の感覚というものだろ?俺様はタツヤの心とやらの中にある恐怖はどうする事もできないが、タツヤの外にある恐怖の原因ならなんとかしてやれるかも知れん…せいぜい期待しておけ!」
蒼は目の前の戦闘に集中しているようで俺の方を見ずにそう言った。
俺も、いつか誰かにそんな風に言えたらいいな…そんなことを考えていた。
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