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Dream Quest 本編63

「ほぅ、武器が出せたじゃねーか」
「蒼、それは嫌味で言ってるか?」
「なぜ嫌味など言わねばならない?」
「こんなもの、どうみても武器じゃないだろう!?」
「それが武器じゃない?だったらそれは何なんだ?」
「これは、ただのスリッパだよっ!」
「すりっぱって何だ?」
「蒼…ひょっとしてスリッパ知らないの?」
「ソレは知らないと何か問題があるほど凄いモノなのか?」
「いや、知らなくても何の問題もないけどね…」
俺はスリッパを握りしめて殆ど途方に暮れている感じだった。
(蒼は本当に知らないんだな…しかし、これから先俺の武器はスリッパです!って嫌すぎだろう…でもゲームのボスみたいな凄い敵がいたとして、ソイツがスリッパに倒されるってのは屈辱的でいいかも?いやいやいや、やっぱりラストシーンでスリッパを構える自分の姿なんて想像もしたくない…(汗))
とりあえず仕方が無いので俺は半分ヤケクソで、そのへんにいるゴキ共を片っぱしからスリッパで叩き消していった。
蒼が動いている様子は無いのにゴキ共の減りが早いような気がする。
(近くに誰かいるのか?)
直ぐ目の前で俺は触れてもいないのにゴキが2匹程ドサッと落ちて消えた。
(誰だろう?)
うっすらと暗がりから現れたのはサトコさんだった。
俺は手に持ったスリッパを思わず後ろに隠してしまった。
「おっ、ここにいたのはタツヤ君か、どんな感じ?かなり倒してるんじゃない?うまくいったのかな?」
「えっ、あの、その…」
俺は何ていえばいいのか言葉が見つからずにいた。
「タツヤは武器を作れたぞ」
(蒼、頼むから余計な事は言わないでくれ~)
「あら?結構早かったね?どんなのが出てきた?」
俺は恨めしそうな目で蒼を睨みながら後ろに隠した手を無言で前に出した。
「なかなかいい感覚してるんじゃない?」
サトコさんがソレを見て思ったほど驚きも笑いもしないのが不思議だった。
(本当は爆笑したいのに俺に気を使って笑いをこらえてるんだろか?
でも笑いたいのを我慢してる感じではないよな?)
「え~っと、コレのどこらへんが…?」
(俺は情けなくて涙が出そうなんですけど…)
「ん?自分の想像や希望というカッコイイだけの曖昧なモノより現実の記憶や体験で知ってる形が優先されるのは、ある程度は仕方が無い事よ?
でも一番重要なのはその場で最も適した形状だと思われるものを自分で作りだせる事だから、とりあえず上等だと思うけどね?」
「そんなものなんですかね…」
「タツヤ君と蒼君で、どっちが多くゴキブリを退治できるか競争したらタツヤ君が勝つんじゃない?
蒼君の刀は、ここで振りまわすには狭過ぎだし、刀は長さもあるので振り回すにはロスが大き過ぎるからね」
「そんな競争で勝っても…」
俺はスリッパを握りしめながら特別酷い結果だったわけでもなさそうな事に内心ホッとしていた。
「サトコさんの方は?」
俺の問いにサトコさんは長細い短剣のようなものを俺にチラっと見せてから顔を近づけてきて小声で言った。
「私は前にやってるから、この身体でも同じ事ができるようになりさえすればいいだけだったんだけどね。さっき待ってる間にも一人で中で練習してたしね」
そう言うと照れたように笑っていた。
(ああ、中に入って薄汚れてたってのは練習してたからか…)
「他の人の様子を見に行ってみようか?」
俺は、みんなにスリッパを披露するのには、かなりの抵抗があったが、他の人が普通に心配だったのは事実だ。
その時、蒼が真剣な顔で話しかけてきた。
「おいっ!」
俺とサトコさんは何事かと思い揃って蒼の方を見た。
「すりっぱってそんなに強いのか?」
俺は何て答えたらいいのかわからなくて頭を抱えて下を向き悩んだ…
サトコさんは後ろを向いてクックッと変な声をあげて肩を震わせていた。
どうも今回は笑いを、こらえきれなかったみたいだ。
「オマエら!何故肝心な事を言わないでいるんだ!?」
「蒼…何も言わないのじゃ無くて、肝心な事など何も無いから何も言えないんだって…(汗)」
(素直に履物だとか答えてやればよかったのだろうか?言えば言うほど蒼にはわけがわからなくなりそうだけどな?)
俺には蒼を納得させられる説明ができる気がしなかった。
サトコさんは振り返って
「今度、詳しいデーターを見せてあげるよ。覚えていたらだけどね!」
そう言いながら笑っていた。
きっとサトコさんは忘れる気満々のような気がする…
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