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Dream Quest 本編43

ソイツは短い腕をブンブン振りまわして俺に向かってきたが、とりあえず俺は、その腕を避けソイツに詰め寄って飛んでいるハエでも落とすように腹に向かって、ビンタしてみた。
むにゅぅぅ…
手が腹に、めり込んでしまうかのような気持ち悪さに、俺は思わず手を引っ込めてバタバタとそいつから離れてしまった。
(あぅあぅ…アイツの腹に手を突っ込んでしまうかと思ったあいつの腹が割れたらどうなるんだ?スプラッターじゃないって言ってたけど何が起こるのか解らないのもキモイんですけど…俺って、ひょっとして真正のチキンだったのかな?)
腹が痛むのか、ソイツはうずくまっている。
しかし俺がソイツ(蚤)に気を取られている隙に姫様はお目覚めになっていて、俺に向かってムカデのように突進してきていた。
次の一瞬、映画で見る忍者のように俺の頭の上を高く跳び上がった蒼がソイツを蹴り、仰向けに転がったそいつの腹を何か大きな長い刃物のような物で斬った。
(えっ?なんで…蒼…武器…?)
ソイツは、斬られて動かなくなった瞬間、小さな粒子のようになって消えていった。
ソイツの消えた後には、小さなカプセルのようなものが転がっていた。
「タツヤーっ!ぼさっとするんじゃねぇー!」
蒼は、蚤の方へ走りながら怒鳴った。
(むぅ…そんなに怒鳴らなくてもいじゃねーかよ)
俺が蒼の方へ向き、蒼に気を取られている間に蚤の方は音も無く起き上がり自分の腹を叩いた張本人…すなわち俺に向かって攻撃しようとしていた。
「馬鹿…ほら!前っ!」
俺は直ぐに前を向いたが目の前に迫るソレを見た途端、情けない事に両手で頭を押さえ目をつぶってしゃがみこんでいた。
「ドゴン!」
鈍い音が聞こえた方を恐る恐る見てみたら、サトコさんが蚤の腹に思いっきり蹴りを入れてる姿が見えた。
ソレは吹っ飛び砂煙と共に仰向けに転がって殺虫剤を浴びた虫のように足をピクピクさせていた。
「あら、しくじったわ…」
サトコさんは、ソレを見ながら明るく?残念そうにつぶやいた。
俺は立ち上がって、ソレを見ていた。
(アレが消えてないって事はまだ生きてるんだよな?なんで蒼もサトコさんも、今のうちにトドメを刺さないんだろう?余裕…?というやつなんだろうか?)
蚤は、しばらくするとまた飛び起きた。
俺達は身構えたが、ソレは俺達の方を見もしないで大きくジャンプしながら、どこかへ飛んで行ってしまった。
「逃げちゃったね(笑)」
「ちっ、馬鹿め…」
ケラケラ笑ってるサトコさんと面白くなさそうな蒼と、そして何が何だかわけが分からなくて茫然としている俺と…
「倒さなくて…よかったんですか?」
俺は、誰にというわけでなく独り言のように尋ねていた。
「アレらには仕返ししなくてはとか仲間を連れて戻って来ようとか、そういう意思も感情も知能もないし、倒したからって経験値が入るわけでもないし、貴重なアイテムが手に入るとかもとりあえず無いから逃げられても問題は無いよ?」
「俺も倒してみたかったです…」
(なんか、自分が情けない…)
「まぁ、男の子ってそうかもねでも戦闘は蒼君に任せてタツヤ君は、避けたり逃げたりが完璧にできるようになればいいいいんだよ?あんなんでも実際に殺しちゃう感覚はあんまりいい物じゃないからね…今は作り物のモンスターが相手だからリアルなゲーム!で良いかも知れないけど、作り物のモンスターではないものが相手だと後味の悪い殺戮になる可能性もある…」
(サトコさんは、ここの生き物?というのを何体も殺してきたのかな…)
「それでも…」
「それでも、倒せるほど強くなりたいです」
「そうね、やられて目覚めが悪くなるより、やっちゃってすっきり目覚めたいしね、倒しに行こうか?」
サトコさんも、本体は男だからなのか自分のガイドの事件からなのか、俺が蚤ごときに恐れおののいてなんだか悔しくて情けない気持ちを察してくれたのかも知れない。
(サトコさん、ガイドが壊れるほどぶちのめされたわけなんだよな…そりゃ、目覚めも悪いだろうな…)
「あ…目覚めが悪いと言えば…あんな気持ち悪い虫ばっかりに襲われたら、殆どの人は悪夢なんじゃないでしょうか…?(汗)」
「えっ?カツオブシムシ?」
「いや、ここにいる虫全部ですけど…」
「う~ん、普段見慣れている虫は気持ち悪いとか怖いと思うかもだけど人って、見た事も無いものには恐怖心や嫌悪感なんて抱かないでしょう?」
「何処から見ても虫ってわかるだけで相当嫌だと思いますよ?」
「えっ?そうなの?たとえ虫でも人の過半数以上が害虫だと認めるものなら、恐怖を克服してでも退治しなくちゃと思うし?殺しても心は痛まないし?実は見た目より弱いし?男をあげるには丁度いいかもでしょ?」
「そうなんでしょうか…(あは)」
(学者肌というか博識ある人達ってたま~に普通だと考える感覚がズレまくってるって時あるよなぁ…)
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