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Dream Quest 本編37

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「なんか、ものすごい量ですね」
「これでも足りないぐらいだよ」
俺には、それが何に使うのか、何に足りないのか、その核心部分がさっぱりわからずにいたが、仕事用なのかプライベート用なのか、なんとなく俺が突っ込んで聞いてはいけないような気がしていた。
「これを向こうに…」
「これは何処に?」
「それは、向こうから3つ目の…」
「そっちの線を、こっちに」
「これですか?」
「それと、その隣のもお願い」
俺達は、淡々と組立作業のような事を続け、それぞれの場所になんとか無事に、あれこれが設置されたであろう頃には、これぞ書斎だ!な部屋は、すっかり秘密基地のように怪しい機器で埋め尽くされていた。
「これでなんとか出来上がりかな…ごめんね、お茶すら出さずに…」
そういうと、店主は足早に部屋を出て行った。
部屋の片隅には、まだ設置されてない機器が中古の電気屋のように積まれたままだった。
(しかし、これ本当に何に使うんだろう?)
カチャカチャとガラスのコップの音を立てながら店主は戻ってきた。
そこには意外にも、ありふれたガラスのコップとペットボトルの麦茶が無造作に置かれた。
「好きなだけ飲んでいいからね」
「あ、はい」(えっ?ペットボトル???)
俺は少し間の抜けた表情をしていたかも知れない…
「???」
店主もどうしたのだろう?というような顔で俺を見ていた。
「いや…その何て言うか…イメージが…」
俺はこの店主の事を何か特別な人のように思っていて、恐ろしく高級そうなティーカップ
で厳選された一級品の茶葉のお茶を、いつも優雅に飲んでいるイメージ以外の想定が無かったのだ。
だから、この人がペットボトルのお茶などを飲むなんてのは、ローマ法王がコーラをラッパ飲みしてるのを目撃したってほどの驚きだったのだ。
店主は、一瞬クスっと笑って言った。
「私に多少お坊ちゃん的な所があるのは認めますが、それでも他は至って普通の男の子ですよ?」
「あ、はい、それが普通ですよね…すいません…」
(何言ってるんだろう…俺)
俺は昨日とは比べ物にならないほど親しげな店主に戸惑っていた。
(この差は覚えている者と覚えていない者の差なのだろうか?相手が覚えているらしい自分の記憶を自分だけが忘れて抜け落ちているって結構歯がゆいと言うのか、悶々としたものがあるよな…思いだせそうな気がしないってのもあるか…)
「渡した機器、持ってきてるよね?」
ふいに店主が真面目な顔で尋ねてきた。
今日話しをして、イカサマ品だったりしたら、つき返そうと思ってカバンに入れたのだった。
「えっ、はい、今朝棚にぶつけてしまったしガイドの機械、壊れているかと思ったので…」
(なんか、言い訳がましい事を言っている気がするけど…嘘じゃないぞ?)
「返そうと思ってた?」
そう言って笑う店主が一瞬酷く寂しそうな表情をしたように見えた。
「えっ?ええっ…と、その…」
(なんで、そういう核心に迫る事をズバッと聞いてくるかな…この人は…えっ?なんか似たような場面がどこかであったような?)
おれはカバンに手を突っこんだまま、ふと…何か思いだしそうな感じがしてそのまま固まっていた。
「それ出して渡してくれるかな?」
そう言って、すっと出された手を見ながら俺はカバンの中で機器を掴んだ手を、このまま出してすんなり渡してしまっていいのか正直迷っていた。
(えーい、考えてもわからん!とりあえずどうにでもなれぃ!)
俺は、持ってきた機器を無言で手渡した。
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