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Dream Quest 本編9

「お待たせいたしました?」
さっきの少女が、カチャカチャと音を立てて、西洋アンティ―ク風な大きなティーカップとティーポットを綺麗なトレーに入れて抱えてきた。
割と乱雑にトレーがテーブルに置かれて、少女はギクシャクした手付きでティーポットからカップへと紅茶のような液体を注ぎ始めた。
ダバダバと勢いよくでるお茶が、見事に散乱しているが慌てる様子も無く無表情でお茶を入れている。
「どうぞ」
そう言って差し出されたティーカップは、並々とお茶が注がれていて、ついでに下の受け皿にもお茶が満タン入っていて俺は気にならない振りをするのがやっとだった。
店主は、ティーポットを自分で掴んで自分でとても適度な量を入れて受け皿をセットして、申し訳なさそうに俺の目の前のティーカップと交換してくれたが、ティーポットを大事そうに抱えてじっと俺のカップを睨んでいた少女は、次の一瞬どばどばどばと、俺のティーカップの受け皿に、またしてもお茶を注いでくれたのだった。
多少、ひきつった顔で、それを見ていた俺に店主は申し訳なさそうに笑いながら、静かに優しく少女に語った。
「マヤ…下の皿には、お茶は入れなくていいんだよ」
少女は、無表情ながらも不思議な物を見るような顔で
「食器というものは、全て飲食物を入れるための物だと書いてありましたわ?」
(なんか間違ってはいない気がしてくるが…皿にお茶を入れるのは変だぞ?)
店主は、俺の方を見ながら「どう説明すればいいのか難しいものだね」と笑った。
思えば喫茶店などでも当たり前のように出てくるカップと受け皿だが、何故そうするのか(おそらくマナーやら作法やらしきたりやらなのだろうが)という理由なんか知らずにやってきたし、知りたいとすら思った事も無くて、そうする事が何の意味の無さそうな事なのに、そうするものだから!で納得させられてたような事とか、意外と多いものだと改めて思った。
「お茶と言う物に関しては、もう少し専門書や文献やらで情報を集めて学習しておきますの…」
少女は相変わらず無表情だったが、それでもそう言った時の声はとても小さかった。
(そこまで、御大層な話でも無いと思うんだが…?)
「それがいいね」店主があっさり肯定して、この話は終わったようだ(汗)
(そ、それでいい話なのか…?(汗))
少女は両方のポケットから、砂糖のスティックとパックされたミルクやジャムの小瓶やはちみつなど幾つかをガザゴソと出してテーブルの上に無造作に置き、最後に握れるだけ握ってきました!という感じのティースプーンを十数本テーブルに置いた後、ペコリと一礼して戻って行ってしまった。
(これ全部、お茶に入れるモノ?これも本に書いてあったから?)
店主は驚く様子も無く、あっさりと
「好きなものを好きなだけ使ってくれたらいいからね」と言った。
俺は、砂糖とミルクを1つづつ取ってから店主をチラッと見て言った。
「スプーン1本使わせて頂きます」
店主は何故か目をキラキラさせて俺に尋ねてきた。
「そこは、どうしてわざわざ言葉にしてくれたのかな?」
「えっ?いや別に言う程の事は無いと思ったんだけど、一応、なんか…」
「なんか?」
(スプーン1本で、ここまで突っ込まれるとも思って無かったんだが…(汗))
「あの子、これだけの量をわざわざ用意したんだろうか?って考えたら、言うのが礼儀なのかなとか思えたというか…」
「何も考えず適当に握れるだけのスプーンを、ただ持ってきたと考えないのかい?」
「そう見えましたけど、皿にお茶を入れた時も、あの子にはそれを説明できるだけの理由があったわけだし、最初に何を飲むかと聞いた時もわざわざ重複して確認したように思えたし…それならばコレも、わざわざ沢山持ってきただけの理由があるんんだろうなって…何故スプーンを沢山持ってきた?と聞けば、あの子はそれを俺に説明してくれそうだけど、俺にはスプーンは何故1本で良いのかあの子に説明できないです…他の物は個人の好みで入れたり入れなかったり変わるけど、スプーンは、誰でも1本しか使わないものなのに…
あ…スプーン1本も決まって無い事なのかな…なんかよくわからんないや…」
そんな事を言いながら、俺は砂糖とミルクを入れたお茶をかき混ぜてたスプーンを出して眺めていた。
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