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Dream Quest 本編93

「でも、どうしてデッド消えないんです?デッドも自分の身体じゃないのかな?」
「…本体が寝るか起きるかしたら、こっちはもぬけの殻みたいな状態になるはずだけど、デッド君どう見てもスヤスヤ気持ちよさそうに寝てるよね?」
「ああ…ほんとだ…なんか何かと不思議な奴だな…」
「彼も色々と大変なのよ…」
「?平和そうな感じだけどなぁ…」
俺はサトコさんが一瞬デットの事を何か知っているような言い方をするんだなと感じたが敢えて何も聞かなかった。
サトコさんが自分の事をデッドに全部説明しないようにデッドにも何か特殊な都合があって、そして俺の知らない事があったとしても不思議ではないと思えたからだ。
「そういえば…さっき受信機返そうとした時、サトコさんアイツに何か耳打ちされてたようだけど、ひょっとして身体の事バレてたとか?」
「ん~まぁ本体がコレではないんじゃないかとは感づいてると思うけど、元がどんななのかは分からないと思う…あの時言われたのは…この歳にしては知り過ぎ!落ちつき過ぎ!度胸あり過ぎ!とかで…オマエ相当年齢サバ読んでるだろう?若い彼らには内緒なんだろう?って言われた(笑)」
「まぁ…ある意味正解ではあるな…(汗)」
「いい加減デッド君に本当の事いうべきなのかなって思ったりもするのよ…タツヤ君にもね…」
「えっ?俺?」
「うん…タツヤ君も…」
サトコさんはそう言うと少し思いつめたような表情で笑っていた。
(まだ何か言ってない事があると言う意味だろうか?俺にはコレと言って人にバレたら困るような秘密は無いが、わざわざ言う程の事でも無いと思うというだけで年齢すら教えた事もないんだし…というより…俺も二人の正確な年齢すら知らないし…(汗)当然趣味も好み何も知らなくて…知らない事の方が多いとも言えるが…普通そんなもんだろ?まぁ…サトコさんは真面目で律義そうだから気になるのかも知れないが…)
「俺はたまたま?サトコさんの事情を知ってるけど個人の事情なんて所詮は個人のモノだから俺が知ってようが知らなかろうが…どっちにしろ何か変わるわけでも俺が変えられるものでもないのだろうし…何かあっても中身は皆一人なんだから…俺はサトコさんだってデッドだって、その中身の本人と一緒にいるんだって思えてる気がする…そうやって一緒にいる事で知る必要があると思える事は、自然と言いたくなったり聞きたくなったりするんじゃないのかなって気がする…だから…聞かれてからでもいいんじゃないのかな?
サトコさんが、どうしても聞いてほしい!っていうのなら聞きますけど?(笑)」
「そうだね…どうもありがとう…無理やり聞かせる必要も無いんだしね…」
「またそう言う事を…(汗)一緒にいる日数やら時間だけならまだ僅かなのかもだけど…俺はなんかもうかなり長い事3人で旅してる気分ですよ?そうやってきた仲間?が自分の事を自分から話してくれるなら普通に嬉しいですけど…サトコさんは俺やデッドの話を無理やり聞かされてると感じるんですか?」
「まさか!一緒にいてくれるだけで有難い存在だよ…普段は…そんな事すら忘れてる程にね…」
「常に有難い有難い!って考えてたりしたら思う方も思われる方も窮屈過ぎてしんどいですって(笑)」
「確かにね」
「俺…今の話し…寝てるデッドに聞こえてても別にいいんじゃないか?って自分で勝手に決めて、それで話してましたよ…」
「私も本当に聞かれたくなかったら、タツヤ君に今その話はするなって言ってたと思う…人と人って不思議だよね…」
「人だけじゃないですよ…きっと…」
俺はそう言いながら座ろうとしない蒼の方を見ていた。
俺達はそんな話をしながらピクニックの続きでも楽しんでいる気分だった。
俺はほんの少しだけこの世界が見えてきたような気がしていた。
軍やら組織やらなどというゾッとするような話しもあるが、そんなことばかりでもない…
怖さも切なさも悔しさも嬉しさも楽しさも…自分なりに受け入れて何とかしようと思ったり考えたりしている…この世界でのそんな出来事が今は待ち遠しいとさえ感じている気がする。
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Dream Quest 本編92

3人が黙ってアーケインさんから離れて自然と集まって固まっていた。
「人が住んでるって知らないようですね…教えるんですか?(コソコソ)」
「聞かれてないし教えなくてもいいんじゃないかしら?(ボソボソ)」
「僕ってマトモじゃないって言われたのかな~?(ヒソヒソ)」
「デッド!間違っても僕住んでましたーとか言うなよ!(ブツブツ)」
「言うなら、とっくに言っちゃってると思うけどな~(ブチブチ)」(確かに…(汗))
「何故森の事を聞いたのかとか聞かれたらどうします?(ボソボソ)」
「危険以外の何も無い所に行きたいっていうのはやっぱり変かしらね?(コソコソ)」
「僕達が内部調査に行ってあげるよ~とかでいいんじゃないの~?(ヒソヒソ)」
「何もいないはずの所に…一般人が何を調査しに行くんだよ…?(汗)」
「おまえら何やってんだ?」
アーケインさんはキョトンとした顔で俺達を見ていた。
俺はアーケインさんが脳筋っぽく見えてても、やっぱり本物のエージェントだけあって頭の方も切れるというのを警戒した。だから下手な言い訳は通用しないと思った。
「俺が…ここに来る前に…ここの事を事前にサイトで調べていたら魔法使いがいる森があるというのを見たので…その…」
(だめだ…言葉が続かない…なんて言えばいいんだ…)
「ああ、その噂か…でもな~あそこの森は精神の嫌な部分に作用してくる何かヤバイものがあるらしいのでな、魔法使いなんてのは幻聴や幻覚だったんだろうって話しみたいだぞ?おまえらひょっとして魔法使いに会いに行こうとか思ってたんか?」
「まぁ…そうです」
「ま!別にいいんじゃねーか?大抵の奴は直ぐに引き返したくなるらしいし、人数がいたら一人でおかしくなって奥に行ったりはしねーだろうからな!魔法使いに会えるといいな!?はっはっは」
(うはぁ…そういう噂が本当にあったのか…とりあえず助かった…?(汗))
まぁ、こういう時こそサッと話題を変えてしまうのもいいものだ…サトコさんはアーケインさんが頭に疑問符を浮かべる前に素早く質問したように思った。
「およそでもいいからそこの座標とか分からないかしら?」
「今ここではわからんな…そもそもおまえさん達の使ってる座標と俺らの座標は全然違うものだろ?」
「あっ、そっか…ゼロ地点が違うんだものね…」
そう言うとサトコさんは手を口に当てて何か考えてるようだった。
この世界には、まだ世界標準とか世界共通とかいう場所も単位も存在しない。
正確には存在してないのかどうかはわからないのだが、少なくとも人間である俺達にとっては地図も座標もマトモに無い世界である事だけは確かだ…。
「俺も見た事は何度かあるから探すのにはさほど苦労はせんと思うがな?じゃあ、俺はそろそろ行かないとならんのだが…ま!これからもよろしく頼むぜ…ええっと…」
そう言うとアーケインさんは俺達を指さしながら言葉を詰まらせていた。
「名前聞いていいか?」
「サトコよ」「デッドだよ~」「タツヤです」「…。」「えっと彼は蒼です(汗)」
「オッケーじゃあまたな!」
そう言うとアーケインさんは片手をさっと小さく上げた後かき消すようにいなくなってしまった。
「ふぅ…やっと帰ってくれたって感じね」
サトコさんはそう言うと身体の力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「でも…悪い人では無さそうだったし、俺は結構色々聞けて良かった気がするけど…」
そう言いながら、俺も何気なく腰を下ろした。
「タツヤー!なんで、そんなどさくさに紛れてサトコの隣に座るのさ~」
「え?(汗)別に特別な理由も都合もないぞ?デッドも向こう側に座ればいいだろ?」
「言われなくても座るよっ!」
そう言うとデッドはサトコさんに触れそうなほど近くに座りこんだ。
デッドはそのままサトコさんにもたれかかるような体勢になった後、ズルリと滑り落ちるようにサトコさんの膝に頭を付けていた。
(わ…わかりやすい上に意外と大胆な事ができるやつだったんだな…(汗))
「えっと…寝ちゃったみたいね…」
サトコさんはコレどうしよう?というような困惑した顔をしていた。
まぁ男を膝枕で寝かせてやるなんてのは、そうそう無い体験だとは思える。

Dream Quest 本編91

「あ!そういやぁおまえら…ナイトメアの完全体って知ってるか?」
「ナイトメアの完全体?」
「僕にはナイトメアってのが、そもそも何なのかわからないんだけど~?」
「おまえら風に言えば夢魔とか魔物とか呼ぶんだろうかな?それとも原生生物か?ああ、ほれ!あそこに飛んでる様な奴らだ」
そう言いながらアーケインさんは、この世界の生き物っぽいものを指さしていた。
「アレの完全体?あれを大きくグロテスクにしたような生き物かしら?」
「いや、ああいう奴らが変化するのか別物なのかまではよくわからんが、完全体というのは人型に近い存在になるらしい…まぁヒューマノイドみたいな存在というのが一番近いのかもな…」
そう言うとアーケインさんはチラっと蒼を見ていたが蒼はずっとムスっとして黙ったままだ。
「それが何かあるんですか?」
「いや、軍の基地内でそれらしいのを見たと言う話があるらしくてな…なんでもそんな場所にいるはずもない格好をした妖艶な美女だったそうだ…」
「軍の偉いさんがこっそり娼婦でも呼んだんじゃないの?」
「まぁそんなオチならいいんだがな(苦笑)」
「僕、それだかどうだかわからないけど人みたいなのなら見た事あるよ~」
「見たのか!?何処でだっ!?」
アーケインさんは身を乗り出してデッドに尋ねた。
デッドはアーケインさんに向かって指を1本づつ立てて話を始めた。
「ひとーつ…僕は人間もヒューマーメイドも何がどう違うのか全然区別ができませ~ん!
ふたーつ…僕はコンパスも機械も何も持ってないから位置や座標なんてわかりませ~ん!
みぃーつ…だから僕は見た以外の事には答えられませ~ん!わかってくれたかな~?」
(デッド…微妙にヒューマノイドが人魚になってるぞ…(汗))
「君の事はよ~く理解したぞ!それで?」
「なんか耳の尖がった薄い色の人達がいてさ~あれが有名なエルフ族とかいう人なのかなっとか思ったりしてね~それでね、その人達が消えたり現れたりする所があってね~特に何も見えないんだけどその辺りに出口か入り口でもあるのかな~って感じで前は良く観察してたんだよ~」
(消えたり現れたりするなら、出口か入り口では無くて出入口なんじゃないのか?(汗))
「ほぅ…伝説の種族の国か世界があるという噂は、そんなにまゆつばでも無いって事か…」
俺は以前にサトコさんが言ってた事を思い出していた。
俺達が何とかの世界だとか何とかの国だとか何とか界だとか呼んでる架空のような別の世界は、実はここの事かここにある世界なのかもしれないと言う話だった。
「でも、その人達がナイトメアなのか?全然違うモノって気がするけどな…」
「いや、そいつらの本体が別にあるなら話は多少違ってくるんだが、少なくともこの世界に身体がある生物ならば、それが本体だろうが仮の姿だろうが組成と構造はみんな似たようなものなわけで、ナイトメアってのは特定の種族や種類を指しているのではなく、この世界の生き物の総称ぐらいに考えてくれたいい!」
「紛らわしいから別の名前を考えようとか思わなかったのかしら…」
「おまえらがあそこに飛んでる様な奴を指さして、この世界の生き物だとか魔物だとかモンスターだとか、それぞれ別の名称で呼んでも、さほど間違いも混乱も起きないだろうが、組織というのは何かで統一しとかないと色々と問題があるものなのさ!」
「組織っては色々と大変なのね…ところでアーケインさん?座標が一定ではない深い森の事は何か知ってる?」
サトコさんは例の森の事をアーケインさんに尋ねていた。
「深い森?魔の森の事か?」
「そっちでの名称はわからないけど…わざわざ名前をつけて区別しなければならないほど特徴的な森って沢山あったかしら…?」
「まぁそう言うなよ…確認作業は大事な事だぜ!?ま!森の存在自体は知ってはいるが内部調査は手つかずで放置だな!マトモな生き物は住めないだろうって話だしな」
それを聞いて俺達は少し顔が引きつっていたのではないかと思う。

Dream Quest 本編90

「まぁ民間人に無理いじはできねーんだがな…そういやぁ、おまえさん達はここで何やってるんだ?本当にたんなる旅行やら冒険だけってわけじゃねーだろ?」
「こっちにも色々と事情があるので、今すぐに全部は話せないわ…でも私は自分を襲った人物を探してたというのはある…別に復讐だとか仕返しだとか考えてたわけではないのだけど、見つけて何者か分かって自分が襲われた理由とかも知る事が出来て…その後どうするつもりだったのか…見つけたからといって自分に何か出来たのか…今思えばそこまで深く考えていなかったようにも思う…出来る範囲で協力はするわ…私達に出来る事なんてたかが知れているのだし、聞けば自分達だけでどうにか出来そうには思えない相手のようだしね…でも、まだしばらくは色々と調べてみたいと思ってる…そこの組織が調べていたとかいう碑文みたいなものも幾つか見た事だしね」
「おまえさん、アレが読めるんか…?」
心なしかアーケインさんの顔が険しくなったような気がした。
訳の分からない組織も証を調べていたとなれば、アレが読めるサトコさんが、これからも狙われる可能性があるからだろうか…。
(サトコさんは自分の事もそうだけど、自分の会社が何を探してて何を企んでるのかも知りたいとかだったし、マヤちゃんの件などは全くわからないままだし…色々山積みなんだよな…碑文てのはさっきのやつか…アレも本当に何なんだろうな…)
「アレが何なのか知ってるの?」
「世界中にゴロゴロしている未来予知に基づいた予言文書の1つらしくて、その方面が好きな連中には色々と騒がれてる代物のようだが、モノが夢の中にあると言う事で似たようなモノを見たと言う文や作り話なども多くて現実には莫大な量となっててどれが本物なのか、そもそも本物があるのかどうかすら疑わしいものらしいが…アレが普通の予言文書と大きく違うのは、未来はこうなります!とかいうダイレクトな予知予言の類のものではなくて、未来はこうなるから証とやらを分断して回避したという感じで予言と言うより証探しの謎解きか説明文みたいになってる所が面白いとかいう連中もいるようだぜ?
ただアレ読む事が出来るのは証を持った人間だけという話だが…」
そう言いながらアーケインさんは全身を確認でもするようにゆっくりとサトコさんを見ていた。
「私は、それっぽいものなど何も持ってないわよ?」
サトコさんは両手を軽く広げて、どうぞ見てくださいと言わんばかりのポーズで軽く答えていた。
「ま!そうらしいな…」
アーケインさんはホッとしたような顔で薄らと笑っていた。
「最新鋭で最先端で最高級で高性能な?機器で全身を調べても何も無いのよ!ね、私は何も持って無かったでしょ」
サトコさんはニコニコしながら俺に向かってそう言ってきた。
「俺は、正直ちょっとがっかりですよ…」
「ひょっとしてサトコは伝説の勇者様候補だったの~?」
「今、最先端の科学が私は勇者じゃ無かったって証明してくれた所なのよ!(笑)」
「え~その機械壊れてるんじゃないの~?僕サトコが勇者の方がいいな~」
俺は何となく勇者とその仲間たちみたいな構図を思い描いていた…が…発想が貧弱過ぎてどうしようもなかったのは内緒である。
(サトコさんが勇者とかだったら、なんか桃太郎とその家来みたいな感じだよな(笑)蒼はやっぱ犬になるかな?俺は…キジかサル?どっちも地味に嫌だな…犬でも嫌だけど…ってか、なんでこんな貧相な想像になるんだよ(汗)でも…サトコさんがアレを読めるらしいのは確かなんだよな…証ってのは何なんだろうな…運命とか命とか魂とかだと何度も分断したりできないだろうしな~?)
「私は勇者ってガラではないし、たとえ証ってのを持ってたとしても勇者になるには色んなものが欠け過ぎてるからね…」
「僕はサトコが勇者じゃ無くても別にいいかな~僕にとっては運命の女神様みたいなものだし~」
デッドは明後日の空の方向を見ながら聞いてて恥ずかしくなるようなセリフをさりげなく言ったが微妙なニュアンスになっていた事に本人は気が付いていないようだ。
(運命の女神って…人の運命の糸とやらを容赦なくハサミでちょん切ってくれるとかいう怖くて有難くない神様じゃなかったか?(汗))

Dream Quest 本編89

「あ、それからコレいらないわ…こんなもの持ってたら余計な敵が増えそうで嫌だもの…」
そういってサトコさんはアーケインさんに無線機を返そうとした。
次の一瞬アーケインさんはサトコさんの腕を掴んで自分の方に引きよせて耳元で何かを言っているようだった。
サトコさんは少し顔色が変わっていた。
話が終わった時サトコさんは無線機を手に持ったまま俺達の方へ2、3歩いて来た。
「何言われたんですか?」
「サトコ!なにかされたの~?」
「なんでもないのよ」
そう言ってニッコリ笑うサトコさんの笑顔はこわばっていた。
アーケインさんは最初サトコさんを見てニヤニヤしていたが、急に真面目な顔になって俺達に向かって言った。
「実際、現実の方では夢ん中で何かやるとか夢ん中がどうにかなってるなんて話、信じねーで笑い飛ばしてるようなお偉いさんも多いのさ…少数精鋭なんて言っても実のところ、こっちに人を回す必要など無いって考えてる馬鹿な上司が多いってだけなのさ。
どんなに凄い内容の報告書を書いた所で、夢でも見たんだろ!真面目に仕事しろ!なんて言われちまう事もあるんだぜ…挙句には証拠を持って来いとかな…現実に証拠が残らないからこそ、ろくでも無い奴らが、この場所に目を付けて良からぬ事を企んでるって言うのにだ!
そしてこっちに来ている俺達は、このわけのわからん世界で何処をどう調べればいいのか途方に暮れちまってる…
あんたらを巻き込もうって気はねーんだ…現実で待機してる偉い学者さんにお伺いを立てるよりも実際にここにいるあんたらと話をする方が何倍も有益だし、ありがてーんだよ!それに個人的な事なんだが…俺はやつらに妹を殺されててな…奴らがなにをしようとしてるのか知りたいし、やろうとしてる事を阻止したいんだ…協力してくれなんて言わん…はっきり言う!俺を助けてくれ!頼む!」
そう言うとアーケインさんは45度の角度で俺達に頭を下げた。
「助けろとか言われても…ねぇ?」
「たいした事頼むわけじゃねーんだ。情報の提供と後はコッチの話を聞いて助言が欲しい。
俺達は設備や機器類は最先端の高性能品だが、コッチ世界の事なんざなんもわかっちゃいねーんだ!」
「それでも現実にある基地内には優秀な学者や専門家や研究家がそれなりに集められているでしょうし、コッチにも当然来てるんでしょ?軍関係者も多く来てなにかやってるらしし軍と協力していけばどうにでもなるんじゃない?分からないとか言ってるけど私達よりは、あなたの方が遥かにコッチの世界に詳しいんじゃないかと思えるけど?…右も左も分からないのは私達だって同じだし…」
「こっちに来てる研究者でも地形や生物の生態とか調べてる程度だし殆どの奴はコッチのデーターを元に推論やら計算やらばかりやってる連中ばかりで使いものにならねーんだよ…ま!俺らのコッチでの基地の表向きの名前は夢の生物生態研究所っていうんだがな(苦笑)俺も基地に帰ったら白衣に着替えて花摘みしてるフリとかやってるんだぜ?情けない話さ…軍の方は、どこも表向き…現実ではそんな事実は一切ないの一点張りでな…それはある意味本当の事で、ここで軍活動してやがるのは軍を私用に使える一部の馬鹿な偉いさんで、要は勝手にやってる事なのさ…だから本部は知らなくて当然といやぁ当然だし、幹部クラスの部下がここで勝手な事やってるぞ!と報告した所で、寝言は寝てる時だけにしろ!?と言う感じで聞く耳持たないんだぜ?こっちに来てない同僚からは寝てて給料貰えるなんざいい御身分だねとか、すっかり嫌われ者状態だし…
ここでは科学やら最先端で高性能な機器が無意味な物になる事も多い…とにかく俺はコッチで信用できる味方や理解者が一人でも多く欲しいんだ…」
「あなた…私達を何か大きく勘違いしているんじゃない?私達はレジスタンスなどの類でもなく個人の研究者でもなんでもない単なる旅行者よ?」
「僕は他所の国の悪党が何してるかとか気にならないし知りたいとも思わないけどな~」
「俺なんか来て数日のど素人ですよ?(なんかカッコ悪っ…(汗))」
アーケインさんの言いたい事はわかるような気はした。
でも俺は遊びでここに来たようなものだし、今はまだ何かあっても遊びの延長ぐらいの認識でしか無いと思う。
これがゲームのイベント程度のものなら何の疑いも迷いも無く、これからよろしくなんて握手でも交わしてるんだろうが、これはゲームではないし遊びでもないのだ。

Dream Quest 本編88

なんか色々と厄介な話しになっているようだが、俺はデットから聞いていた話があるので、さほど驚いてもいなけえば怖いとか言う感覚も無かった。
それに俺はサトコさんが襲われた事も聞いていた。ただこんな凄い連中に襲われたんだという事はさすがに知らなかったが、何かあるような気はしていた…いや何かそのぐらいの事があったらいいのにとでも思っていたのかもしれない。(嫌な奴だな…俺…)
俺達は黙ってお互いの顔を見合わせていた。
「あっ!そういやーおまえら、さっき無線が聞こえたとかどーとか言ってたが…ひょっとして今俺が話した事も全部知ってたんか?」
(するどい質問がきたな…デッドが変な事言いださなきゃいいが…)
「そんなのはフィクションの世界じゃありきたりの定番すぎるぐらいの話しだし~現実でもそういう人達が普通にやってる事なんだよね?それでなくても、ここは夢の中なんだから実感もないし驚きはしないよね~?」
「まぁ他所の国の軍隊がどうのとかカルト集団がどうのとか…実際に現実でTV中継を見ても驚がないと思いますし…話を聞いただけでは何の実感も無いのは事実ですから…それに実際に会っていたら驚かないでしょうし…」
そう言いながら俺はサトコさんをチラリと横目で見ていた。
なによりもデッドが意外とマトモっぽい事を言ったので俺は内心ホッとしていた。
「そーゆーもんなのかねぇ…でおまえら、どう見ても無線を傍受できるシステムとかもってねーよな?あのヒューマノイドとかは多少色々とできるようだが、それでも俺が無線を使ってた場所は、こことの距離がありすぎで盗み聞きするなんざ不可能なはずだ!?その時に聞こえるほど近くにいたとしたら、あの子供達が一緒にいた事もわかるはずだしな?いったいどういうカラクリなのかね?」
俺達はまたしてもお互いの顔を見合わせた。
アーケインさんは顎に手を置いて首を傾げて俺達を見ていた。
「それって、敵さんの通信も聞こえるんか?」
(会話の誘導か…?)
「だから~本当にたまたましか聞こえないんだってば~!」
デッドはアーケインさんの策に見事にはまって?口を開いてしまった。
「たまたまでも、ごく稀にでも、とにかく聞こえはするわけだ?」
アーケインさんは目をギラギラさせながらデッドに向かって聞きはじめた。
(馬鹿デッドめ…(汗))
俺とサトコさんは、こそっと下を向いてその場から離れられるものなら離れたかった。
「ボウズが聞いてるのか?」
「えっ?僕はお坊さんなんかじゃないよ~?」
「あ、いや、だから君がだな…」
「だから?僕には法力とかもないし~お払いもできないし~ご先祖の声とかも聞こえたりしないよ~?」
(お払いは神主さんの仕事じゃ無かったか…?(汗)いやどうでもいいけどさ…)
「いや、そういう事を聞いているんじゃなくてだな!君は無線が聞こえる能力でも持っているとか、それが可能な機械を何処かに隠してるとか、そういうのを聞いてるんだが…」
「どれが無線でどれが無線じゃないとか僕にはわからないよ~?それに僕が直接聞いてるわけでもないしさ~?」
「あ~もうわけがわかんようになってきたっ!」
アーケインさんは頭をクシャクシャとして少しイライラしてる感じだ。
(なんとなく放っといても大丈夫そうな展開だよな?(汗))
「ま!そっちのほうは後でゆっくり検証するとしよう!で…」
(おい、おっさん…後でって何の事だよ…?(汗))
「俺は直ぐにおまえらと合流するわけにはいかないんで、とりあえずコレを渡しとく!」
(ちょっと、そこのおっさん?…合流ってなんだよ…?(汗))
そういうと無線機のようなモノをサトコさんに手渡した。
「これは?」
「俺とだけ繋がってる無線機だ!お互いの情報交換と助け合いのために連絡を取り合おう!lって事だな!それはもう一方のパーティにも渡してあるんだが…実は、おまえらを見つけたら知らせると言ってあるんだが…」
アーケインさんはそう言いながらも何だか遠慮してる様な妙な雰囲気だ。
「あなたは、あの子達に自分は忙しいから私達を探せないと言ったのよね?だったらあなたは私達を探してもいないし、見つけてもいない!それでいいのじゃなくて?」
「おいいおい、冷たいんだな…会ってやらねーのか?」
「私達は何かあっても、それぞれが自分の事だけで精いっぱいなのよ…とてもじゃないけど子供の引率もボディガードもできないの…あなた暇そうだからやってあげたら?」
「俺だって忙しいぞ!?」
サトコさんの言うのは最もだと思ったし、アーケインさんもそれはわかっていたんだろうと思う。

Dream Quest 本編87

24.jpg
サトコさんが逆にアーケインさんに尋ねた。
「それで彼らは一体何者なの?情報交換という事だったわよね?」
「う…まぁそうだな…奴らは現実世界では超古代文明の生き残りだか生まれ変わりだか知らんが、そいつの復活を願うという感じの言わばカルト集団みたいなものだった。その時はNA-ネオアトランティスとか名乗ってたようだが表向きの名称に特に意味は無いとかいう噂だな…特に信者を募ってどうの~というのはないし、関連会社では遺伝子関係を取り扱っていて優秀な遺伝子の保管と売買をしてたようだし、人以外のものなども扱っていたりで、こういう会社は今では珍しいものでもないからな…ただ人間の同じ部分ばかりの廃棄物が大量に見つかったりなど殺人を疑うようなものが度々出ては来るものの、それらの遺伝子を調べても該当者なしで犯罪に該当するものは見つからなかったのさ。決して多くは無いものの度々起こる不可解な事件や犯罪、誘拐などにも関与している可能性があったんだが結局は何の手掛かりも無いままだ…古代計画という遺伝子操作で超人的な人間を作ってるとか大量のクローンを制作しているなどの噂だけは数多くあるものの全ては噂の域を出ないままで、その会社自体が今はもうない。
その後シベリアに人類資源研究所という会社が設立され、そこでもかなり怪しい実験が行われているという情報があるんだが、とにかく部外者以外は絶対に立ち入れないという厳重な警備が徹底された場所らしいんだ…そこには海外から購入されたコールドスリープ用の機器が数台搬入されたと言う事だが、社がそれに関しては意欲的に公開しててな…なんでも特定の植物などの保存に適してるとかいう話だが、購入されたのは人が入るカプセルタイプらしいからな…まぁ、言い訳がうまいというか言い訳が出来る範囲でしかボロを出さないと言うのか、かなり巧妙な手口が得意らしいな…
後は何故か夢の中の古代の碑文なるものの内容に関する情報を集めていたというのもわかっている。それだけなら元々カルトな連中だし非常に怪しくて不可解な奴らと言うだけに過ぎないのだが、同じ頃に不穏な動きを見せている軍関係者や兵器売買などをやっていた裏世界の連中が兵器そのものの購入量を大幅に減らし何か別のものを取引しているなど世界規模で変化が見えてはじめてな、何故かそれらに共通するのは夢とか言うものだったってわけさ…最初聞いた時は何の冗談かと思ったんだがね…(苦笑)とりあえず軍関係者や武器商人などが、ここで何をやろうとしてるのかってのは、まだわかりやすい奴らだったんだか…相変わらずあの不気味な連中だけは何がしたいのだかさっぱりわからんままというわけさ。ただ現実と違って奴らはここでは邪魔する者には容赦ないと言う面も見せているし、軍関係者が秘密裏に用意してた兵士たち数百人をを一瞬で惨殺したという事も言われている、まぁ兵士と言っても君達の連れてるヒューマノイドやアンドロイドと同じような作りの兵ばかりなんだがね…今のところ連中らはお互いの存在が邪魔で潰し合いのような事をしているようなんだが襲われた連中の話では奴らは自分達の聖地を汚すな出て行けみたいな事を言ってらしいぞ…ま!元々そういう集団だったんだから特に驚く程でもない事なんだよな…っと、ざっとこんなもんだ、ちょいしゃべりすぎたか!」
アーケインさんは、苦笑いを浮かべながら頭をかいていた。
「彼らがこの世界を自分達の聖地だと考えてるって事は、ここに故意に来ている人は全て聖地を汚す敵だと思っているとしても不思議じゃないって事ね…」
「そうだろうな…そのうち裏の人間も民間人も関係なく無差別に追いだし攻撃をはじめるかもしれん、ま!今のところ一般人には関わらないようにしてるみたいで何かして事が表沙汰にでもなったら自分達の存在が知られることにもなるし、そうなると色々と動きにくくなるからではないかと考えているがね…しかしおまえら、こんな突拍子もない話を聞いて驚きもしねーんだな?」

Dream Quest 本編86

「おいおい、消されるって…まだ信用されてないんか?俺達が動き出した事なら敵も既に知ってる事だ、おまえらに今話した事程度の内容なんかバラされても口封じに消そうなんて物騒な真似はしねーぞ?」
サトコさんはキツイ目でアーケインとかいう人を睨んで言った。
「私達が秘密に動いてるはずの組織の名称を知っていたり、そのメンバーと面識があると知れたら敵の方に消されるんじゃなくて?」
「あ~そうだったな…すまんすまん、そういう可能性はあるから、とにかく他言はしないでくれよ?で、一応俺の事は正直に言ったつもりなので、ちょっと質問させてもらってもいいか?」
「質問するのは自由でしょ?答えるかどうかもね?」
「うひゃー厳しいお譲ちゃんだな…唐突に聞くが…おまえら怪しい奴見なかったか?」
「僕なんかこのメンバー以外の人間は全員怪しく見えてるよ~」
「うん…怪しい奴ならすぐ目の前にもいるしな…」
俺とデッドはアーケインさんをじっと見ながら答えた。
「ちょっちょっと待ておまえら…とりあえず俺は除外してくれ…それと質問を少し変える…例えば…不思議そうな奴とか雰囲気が普通じゃない奴とかだな…」
「僕はサトコだけに丁寧にしゃべるタツヤが不思議だと思ったよ~?」
「俺だって…ふわふわした感じで何考えてるのかよくわからんデッドの方がよほど不思議だと思うけどな!?」
「ちょっちょっと待ておまえら…とりあえず内輪な話も除外してくれ…えーっと仕方ない…具体的に言うしかないか…赤い髪に赤い服の少女とか青い髪に青い服の少年とか金髪で服が黄色い男だとか見かけた事はないか?」
「ピンクの女の子と緑の男の人とかはいないの~?」
デッドは、またかなり的外れの疑問を抱いたようだったが、それについてアーケインさんはデッドに向かって真剣に聞き返していた。
「ピンクと緑を見た事あるのかっ!?どこで?どんな奴だった?何していた?」
何となく俺はデッドが次に的外れな長い説明をしそうな気がしたので、とりあえず釘をさしておいた。(つもりだ)
「デッド…世界の悪党にゴレンジャーはいないと思うぞ…(汗)」
「え~なに?…違うの~?ちょっと残念だなぁ~」
「なんだ?見たんじゃねーのか?何の事か知らんが…おまえらぁぁ!俺はこれでも真剣に聞いてるんだがなぁ??!!!」
アーケインさんは少しイラついてるようだった。
俺はアーケインさんの質問の意味はデッドよりは理解していたはずだが、なんとなくデッドに話の調子を合わせて適当にやりすごせたらいいとさえ思っていた。
「僕も真剣に話してるよ~?」
デッドがふざけているわけではないのは確かなのだが、そのズレが何なのかいまいちよくわからない所が不思議なのである。
その時サトコさんは少し顔色を変えて下を向いてかすれた声で小さく囁いた。
「青い少年…」
「おや…意外にもお譲ちゃんの知り合いだったかい?」
アーケインさんは少しニヤけて嫌味な言い方でサトコさんに聞いた。
「知り合いじゃないわ」
そう言ってアーケインさんを怖い顔で睨むサトコさんは俺が見ても怖かった。
「怖えーな…冗談だって…で?知ってるんだよな?」
アーケインさんがそう言うと、サトコさんは目をそらすように斜めを向いた。
「…。」
「さっきまで威勢が良かったのに今度はだんまりかい?」
「…あなたに有意義な情報など特に無いわ」
「奴は何をしてた?」
「何を?さぁ…悪いけどそこの部分は見てないわ…私は襲われて自分のヒューマノイドを殺されて私は目を覚ました…それだけよ…」
「何だとっ!?今まで一般人で襲われた奴など一人もいねぇぞ!何故襲われたんだ!?」
アーケインさんはサトコさんの両肩を掴んで激しく聞いてきた。
「何故襲われたのか知りたいのはこちらの方だわ!私が一般人に見えなかったのかしらね…?」
サトコさんは、肩を左右に振って手を払いのけるような仕草をしながら怒ったように大きな声で言った。
「奴は何か言ってなかったのか?」
「さぁ…意味の無い言葉しか聞いた記憶が無いような気がするけど…実は余り覚えてないの…」
「意味のない言葉って…どんなものだ?」
「あほ、ばか、まぬけ、しね…そんな感じの言葉よ…言い方はもう少し酷いものだったように思うわ…ただ彼は明らかに人であったと思うのだけれど何故か魔法のような攻撃をしてきたという事だけははっきり覚えてる、彼はそんなものを発生させられるような機器類は一切持っていなかった…はずだったから」
「なるほど…魔法ねぇ…」
アーケインさんは顎に手を当てて感心するように呟いた。

Dream Quest 本編85

「向こうさん達と違って、こっちは随分たくましいパーティなんだな!ま!答えられる質問には答えるが、こっちの質問にも答えてもらえるよな?お互い情報交換といこうや!?」
「私達はあなたが何者か知らないけど、あなたは私達の事を知ってる風な口ぶりね?お互いに情報交換するならば、相手を知ってからじゃないと無理じゃないかしら?」
「だから~俺はさっき自己紹介しただろう!それに俺はおまえらの事など何も知らんぞ!?後おまえらの認識を一部訂正すると、おまえらを探してるのは厳密には俺じゃ無い!俺はおまえらを見なかったかと聞かれただけだ!」
「誰が私達を探していると言うの?」
「えっと…アテナちゃんとダーク君だったかな?後はそれぞれが連れてる女性?2名の4人組だったな」
「アテナさんとダーク君が組んで一緒に行動を?…そして私達を探している?…一体どうなってるのかしら…」
「一緒に連れてって欲しいんじゃないの~?」
「デッドもそうだったしな?」
「僕の場合は運命の巡りあわせだったんだよ~っ!」
相手は子供だと言っても、ほんの昨日まで死ぬ気で?戦ってた敵みたいな奴だったし、そいつに襲われた少女が今はそいつと一緒に行動してるってのは何がどうなってるのかさっぱりわからなかった。
ましてその二人が一緒になって俺達を探しまわってるとか謎だらけである。
「言っとくが俺はあいつらが探してる理由なんざ何も聞いてねーからな?」
「それで、ものすごい機関のエージェントであるあなたが、そんな一般人の子供の探し人を、本来の仕事より優先させてわざわざ探してあげたというわけ?ちょっとご親切すぎるんじゃなくて?それともよほど暇な仕事なのかしら?」
「うひゃ~お譲ちゃん結構痛いところを突いてくるな~ま!あいつらには俺は探してやる暇など無いと言ったんだが、個人的に気になったというか、ま!こっちの探してる情報をおまえらが持ってるかも知れんから少し話を聞いてみたいって思っただけだ!ま!これも仕事のうちだ!はっはっは」
「私達も単なる一般人よ?たいした情報なんて何も持ってないわよ?それにあなたが正義の方の人間だと言う証拠も保証もなく、もし正義の方に属している人であっても私達の敵である可能性が残ったままでは、あまり余計な事は言いたくないわね?」
「お譲ちゃん結構頭が回るんだな?でも何故たいした事など何も知らない一般人が、そこまで“敵”に対して敏感になり注意を払えるんだ?」
男は目だけはギラッと輝かせて、そして自信に満ちた笑みを浮かべながらサトコさんに尋ねた。
「慎重で疑い深い性格なだけよ?今でもあなたのような人に絡まれているし…それが原因で何か余計な事に巻き込まれるかもしれないでしょ?」
「ほぅ…核心を突いたつもりだったが、少しも取り乱したりうろたえたりしないんだな(苦笑)でも一般人が敵なんて言い方をしたのは気になる所だし余計な事に巻きこまれた事でもあるのかい?」
サトコさんは少し笑っているような表情で続けた。
「あなたが会ったダーク君、彼は私達の敵としてつい最近戦ったわ…その時に私達は彼の連れてたガイノイド1体を完全に破壊してしまったからね…現在は恨まれてるかもしれないし今でも敵かもしれないという疑問を残したままよ?あなた達は仕事柄、敵とか味方とかを明確にしたがったり、その言葉に敏感だったりするのでしょうけど、一般人だって個人的な理由で敵や味方を認識するし、それが他愛も無い喧嘩がきっかけであったとしても不思議じゃないでしょ?」
「なるほどね…向こうさんは敵だったのか…そんな風には思えんかったな~俺もまだまだだな!俺は夢界共同連合軍FSBのメンバーでアーケインという者だ!何をしてるのか簡単に言えば現実世界で要マークだった人物や組織が最近やけに大人しいと思っていたら、どうもこちらに来て何か良くない事をやろうとしているらしいというので、現実世界の幾つかの国のその筋の者から成る急遽結成された少数精鋭の新しい組織だ。どちらの世界であろうと口外しないでくれよ?これでいちおう信用してもらえるか?」
「わかったわ…タツヤ君デッド君、どこでも誰にも言ったらだめよ?どこかでペラペラしゃべったりしたら消されるわよ」
「うん…」(本当に凄いエージェントさんだったとは…)
「わかったよ~」

Dream Quest 本編84

「デッドが、ひとっ飛び行ってアイツがいるかどうか探して来る!そしてもし居たらドラゴンにくわえさせてでもここに連れて来るってのはどうだ?」
「えええ~そんな事したら次は誘拐犯とかで指名手配にされるんじゃない~?僕嫌だよ~」
「じゃあ、さっき聞こえてた通信元に行ってどんな奴か見て来るってのは?」
「えええ~なんで僕ばかり危険な事をしなきゃいけないのさ~?」
「デッドにしか出来ない事じゃないか?俺に羽でもあれば行ってくるけどな!」
「羽を強くイメージして念じれば生えて来るんじゃないかな~?」
「そういうのも出来るのかな?」
「よくわからないけど今度練習してみたらいいんじゃ…っていうか夢なんだからさ~羽なんかなくてもぴゅーって空飛べるんじゃないのかな~?」
「そう言われたら、そんな気がして来るな…(汗)」
俺とデッドはアレコレと、どうでもいいような話していた。
サトコさんは斜め下をじっと見たままブツブツと何かを考えているようだった。
「私達を4人一組のグループとみなして探してた…このメンバーでの言動で誰かに目を付けられる事があったとしたら…ブツブツブツ」
その時蒼が一瞬ピクっとした。
「蒼、どうした?」
「今、人が居たが直ぐ消えた…」
「えっ?人間だったの?」
サトコさんが顔を上げた。
「出る所間違えたので直ぐに帰っちゃったとか~?」
「俺達を探しに来た奴とか…?」
その時、俺達の直ぐ目の前に忽然と人が現れたのと蒼が立ち上がり俺の前に来たのは同時ぐらいだった。
「やぁ!ピクニックかい?」
大きな外人男は手を顔の横あたりまで上げてニッコリ笑っていた。
俺達は1歩ほど後退し少し体勢を低くして構えた。
心臓の音だけが聞こえて来るぐらい静かになり気持ちは張りつめて緊張していた。
蒼は一振りで男に届くぐらいの位置で刀を構えていた。
「そんなに警戒しなくても、なにもしやしねーって!」
「いきなり現れて警戒するなというのは矛盾してるが?オマエ何者だ?」
「俺か?俺はそうだな~悪の陰謀を阻止する正義の機関のエージェント!といった所だ!はっはっは」
俺達は一瞬耳を疑って目は点になっていたのではないかと思う…。
映画などでは良く聞くセリフだか、まさか自分がこんな場所で聞くとになるとは、それこそ夢にも思って無かったからだ。
「外人にも中2なノリの人っているんだね~(ボソ)」
「日本人より外人の方が羞恥心とか世間体とか細かい事を気にしない人も多いらしいし、なりきり度では日本のオタクより半端無くてスゴイのかもね?…(ボソ)」
「魔王とか悪の組織のエージェントを名乗らない分マシだけどな(ボソ)」
「おまえら…全然信用してねーだろ?」
大きな外人男は背中を丸めて頭に手を当てていた。
「タツヤ!気を抜くな!コイツ…ケタ違いの装備してやがる…」
「へぇ…そこのヒューマノイドはさっきのお嬢ちゃんより優秀なんだな!?でもそれなら抵抗しても無駄なのも分かってるんだろ?」
大きな外人は蒼を見てニヤリと笑った。
(コイツ…蒼をヒューマノイドとか言ってたな…さっきのって誰の事だ…?)
「何をする気だ?」
「だから、何もしねーといってるだろう?あ、お話はしたいと思ってるけどな?」
蒼は刀を消して構えを解いてただ立って怖い目で男を睨んでいた。
(蒼は信用したのか?それともかなわないからやめたのか…?)
「本当に話だけなの?」
「ん?お譲ちゃん…サイボーグなのか?初めて見る固体だな…ま!ここではそんなのもアリか…まぁ俺は話だけのつもりで来たんだけどよ?」
(コイツ…サトコさんの身体の作りもわかるのかっ!?)
「この人の声どっかで聞いたような…あーーっ!この人だよ!さっき無線でしゃべってたの!」
「デッド馬鹿!余計な事はしゃべるな!」
俺は声を上げてデッドに怒鳴った。
「ん?無線…なんだ?おまえらひょっとして俺の通信を盗聴でもしてたんか?」
その時サトコさんが怖い顔をしてズイっと前に出て話を始めた。
「それはたまたま聞こえただけよ!そもそもそちらが私達を探していたのではないのかしら?でも私達にはあなたのような人に探されるような身に覚えが無いの!なので是非ともその理由をお聞かせ願いたいわ」

Dream Quest 本編83

(俺がそこに入ろうとすると蒼が止めるからだろうか…?)
「他の目的場所とか思いつかないし、とりあえず行ってみればいいと思うけど…でも行くと言っても場所が全くわからないのは大変そうだよな…」
そう言いながら俺はチラッと蒼の方を見た。
俺はとりあえず自分の意思表示をしてみた。(つもりだ)
俺が行きたいと言えば蒼は恐らく止めないだろうと思えたからだ。
蒼も俺をチラッとみて微かに笑ったかのように見えたが特に何も言わなかった。
「場所は…グレイなら知ってるかも知れないよ~僕グレイとそこで会ったんだもの~」
「それを早く言えよっ!」
俺は思わず大声を出していた。
「あ、待って…ちょっと静かに…」
デッドは何故か急に目を閉じてじっとしてしまった。
(オマエが一番しゃべってたんじゃなかったか?(汗))
目を開けたデッドは驚いた顔をして小声でボソボソとしゃべりだした。
「なんか僕達…全国指名手配中になってるような感じだけど…どうする?」
「なんだよそれ!?」
「何の事なの?詳しく話してみて」
デッドは、たまに人同士の会話や通信のような物が聞こえて来るのだという。
今回もそれで聞こえてきたものだろう。
「たぶんどっかの組織とかの無線?みたいなものじゃないかと思うんだけど…今さ~歳はハイティーンぐらいで女性1名男性3名ドラゴン1匹、誰か見かけた者はいないか~って話してたんだよ?それってやっぱり僕たちの事だよね~?」
「それは本当なの?もう少し詳しく聞かせてくれる?」
「えっと…見かけた者はいないか~の後、誰も見てないという返事と、それは例の奴らと関係あるのかと聞き返してて、そっちとは関係が無いと返事してた…後は一般人に道を尋ねられただけだとか何とか…そんな感じだったよ?」
「なんだよそれ…どっかの組織とかに目を付けられるような事…俺ら何かやったか?(汗)」
「私もそうなる可能性とか全く思いつかないわ…」
「あのロボット戦士のガキ!あいつが親に言って親が組織の手を借りて俺達を探してるとか…?」
「あり得ない話じゃないけど…相手があの子の親ならたいしたことない話なので別にいいけどね…」
「えっ?いいんですか?(汗)」
「現実世界の話しになって何か言ってきたとしても、それなりに事を収める術はあるから大丈夫よ?動かせるお金もそれなりにあるしちょっとした専門の筋の人脈も、ちゃんとあるからね!」
(こういう所は、さすがおぼっちゃん!という感じなのだろうか?…(汗))
「でも気持ち悪いよね~なんで探してるんだろうね~?」
「そもそも誰が何のために探してるのか全く思いつかないものね…例の奴らって何かしらね?…道を聞いた一般人と私達は関係あるのかしら?分からない事だらけね…」
サトコさんは真剣な面持ちで考え込んでいる様子だった。
「とりあえず戻って、あのガキに聞いてみた方が早いかも…」
「でもあの子の親関係なら子供の高価なおもちゃを壊した文句を言いたいとか、そのおもちゃの賠償問題とかぐらいでしょ?夢の中で探したりするかしらね?」
「でもアイツの親ってロボ作ってる会社関係者だとか言ってたから人とかを送りこみやすいのじゃあ?」
「関係者だからこそ、コッチの世界で私達を見つけたぐらいでは、どうこうできる話でも無い事を知ってるはずだと思うのだけど…単なる仕返しとか考えてるのかしら?…親子揃ってあんな性格だったら最悪よね…」
サトコさんは呆れたような顔で溜息をついた。
「似たもの親子って割と多いんじゃないのかな~?パパもロボ連れてたりしてね~?」
「やっぱ、アイツ探して問いただした方が早いと思う!」
「でもあの子がこっちの社のエリアに来てる可能性は低いのではないかしら…探すとなると対戦相手を探してヤキモキしている連中がウヨウヨいるような向こうのエリアに行かないといけないかも知れないわ…」
「なんか変なのに絡まれそうで嫌かも…(汗)」(そこの君!バトルしようぜ!みたいな…?(汗))
「あの子が例のおもちゃを新調して無ければ、そこに行っても居ないでしょうしね…」

Dream Quest 本編82

「向こうに少しだけ木や花がある場所がって、そこなら座って話ができそうだよ~」
俺達はデッドの言う場所へ向かった。
そこは木が何本かあるものの見晴らしも良く所々に小さな花が咲いているが、地面は適度に乾燥しているので座る事もできそうな場所だった。
俺達はテーブルでも囲むようにそこに座り、ドラゴンは木の中に入って枝に降りたようだ。
「少しのんびりした気分になるわね」
サトコさんは伸びをしながら話を始めた。
俺は最初は見晴らしが良過ぎて落ちつかない感じがあったが、みんなで座った頃には遠足やピクニックな感じもして話をする事に特に抵抗は無くなっていた。
「そうですね…でもここってまだ手前の方なんですよね?二人はどのぐらい奥まで知ってるの?」
「僕は何処が奥でどこが手前なんだか全然解らないんだけど、ここって手前なの~?」
俺は最初、デッドがまた変な話をしたのかと思ったが、そうではないらしかった。
「手前って言っても私達は社のエリアを基準として近いだとか遠いだとか言っているに過ぎないので何処が真の手前で何処が奥なのかはわからないのが普通ね…元々社がエリアを決定する時にかなりの範囲で平穏なエリアが広がってる場所を選んであるおかげで?近い場所は初心者に最適っぽい感じだし、ここから奥に行くと強敵に遭ったり不思議なエリアに入ったりもするって感じかな?」
「あ、そうだ!不思議と言えば、ものすごく深い森に魔法使いのおばあさんがいるんだよ!あの人ならここの事とかも詳しいだろうし何でも知ってるみたいだから会って損は無いと思うよ~?」
「魔法使い?(汗)」
デッドの話しが嘘や作り話ではないのはわかっているが、たまにとんでもなくズレている事があるので、そのままを鵜呑みにしない方がいい場合もある。
(おばあさんって事は童話とかに出て来る悪役のばあさんみたいな人か?でもちょっと黒い服とか着てたらばあさんなんて皆魔法使いに見えそうだけどな(汗)まぁ…魔法使いの少女とかじゃ無くて良かったような気もするが…いや、それはそれで見てみたい気もするか…)
「たぶん魔法使いだったような~?改まって聞かれたらどうだったんだろうって思っちゃうよね~でも見たらたぶんわかるよ~」
「魔法でも使うのか?それとも鍋で毒りんごを作ってたとか、鏡と会話してたとか?」
「魔法みたいなのは使ってたかなぁ…?鍋はあったけど何作ってるのかは知らないかな~
鏡はよくわからないけど水晶玉みたいなのは覗いてたよ?」
「その人はデッドの知り合いか何かか?」
「僕が森で迷子になってたのを助けてもらったんだよ~その後しばらくおばあさんの家で暮らしてたんだよ~」
「一緒に住んでたのかよ…!」
「その森の事だと思うけど…少しだけ聞いた事があるわ…深くて黒い森があって、普通に入る事はできるんだけど、とてもじゃないけど奥には行けないほど危険だって…それに、その森って座標が一定ではないという話しだったような?」
「座標が一定じゃない?ひょっとして移動してる森?」
「あ~そうかも…でも、瞬間移動みたいに何処に現れるのか分からないとかじゃなくて、たぶん同じ所で動いてるだけだと思うよ?前に何処からでも太陽や月が見えるように何処からでも森に入れてしまうし太陽や月が見えない日でも無くなったわけじゃ無いように森も常にそこにあるんだって感じの事言ってたような気がするし~あれ…でも森に入ってはいけないって言われたんだったかな~?」
「入ってはいけないのに、その人?は住んでるのよね?そのおばあさんは人間なの?」
「うん、なんか変だよね~何で入ったらダメだったんだったかな~?危険だからかな~?そのおばあさんは現実に身体があるって言ってたから、たぶん人間だと思うよ~?」
「そこにはどうやって行くんだ?」
「さぁ…僕は良く知らないけど?探してたらそのうちあるんじゃないかな~?」
「なんなんだそりゃ…デッド!場所知ってたんじゃないのか!?そもそもそこに住んでたんだろ!?」
「住んでたといってもその間は森というかその家から一歩も出た事無かったし~動いてるんだし見えたり見え無かったりするらしいし…でも直ぐ見つかるんじゃないかな~」
「本当に適当だな…(汗)」
「とりあえず目的地はそこでいい?デッド君は里帰りみたいになるのかしらね(笑)私はそこでその人の知ってるこの世界の事を聞いたり…出来れば魔法の事も聞きたいわ…蒼君!前にテスターが森を見たという時の座標データーは残ってるのかしら?」
「無いな。瘴気が強い場所なので見てもモニターを近づけるなとある!」
「そんな危険なところなのかしら?人が住んでるらしいしデッド君も知ってるぐらいだから大丈夫のような気はするし、とりあえず行くだけでも行ってみたいんだけど…いいかしら?」
それは俺達に聞いていると言うよりも蒼に尋ねているような感じだった。

Dream Quest 本編81

2009開の証を持つ者 大量複製され多世界は混沌なる変革が齎される
2010超の証を持つ者 開の証の者に囚われ証を奪われる
2015完全なる証を揃えた者 己に証を使い世界を終焉させる
この観により証は再度分離され世界は再構成される
証は使えぬものである 証は持つ者には何も齎さぬものである
故に運命のみが証を求める
証を持つ者 真なる目的のためだけに証を求めよ

という感じの内容…数字が年号だとしても2009と2010は過去になるわけだから既に終わってる事になるけど、それらしい事など特に聞いた事も無いわけだから私達の知らない所で起こった出来事なのかしらね?…前に見たモノはもっと数字が前のものでね、証を持つ者が殺されたり死んでしまうような話で、そこでも証を分離して再構成したとかあったけど何なのかしらね…まぁ他愛も無いラクガキかもしれないけどね…」
「サトコさんだけ読めると言う事は…ひょっとしてサトコさんが証とやらを持っているとか!?」
「う~ん…残念な事に?先祖代々伝わる家宝もなければ、そういう特殊そうな物を手に入れたとか託されたとかもないわよ?(笑)」
「実は意外な物かも…?」
「意外な物って?」
「例えば…実は体内に宝珠が隠されている!とか…」
「私、健康診断も何度も受けてるしレントゲンだって何度も撮ってるわよ?そんな異物が体内にあったら普通は映るだろうし自覚もあるでしょう?(苦笑)」
「そういうのって普通の人には見えない物であるのが定番じゃないですか!」
「何の定番なのやら(笑)まぁ見える見えない以前に有るのか無いのかすらわからないのではどうしようもないって事になるけどね…私達の体内にそんな面倒な物が入ってたりしない事を願いましょう(笑)」
「ええっ!無い方がいいんですか?あった方がなんかいいのに…」
「特殊なモノなど持っていても、いい事など一つもないものよ…」
俺達は、どこまでが本気なのか冗談なのかわからないような会話で盛り上がっていた。
俺はこの歳になっても自分が特別な存在だったとか特殊な能力を持っていたとか、そんな事にいまだに憧れがあるけれど、こんな憧れも誰もが持つものではないのだろう。
それとも歳と共に薄れてやがては消えてしまうんだろうか?そんな事を考えていた。
そして俺はこの時、サトコさんの言葉の真意をまだ知らずにいた。
そんな事をしているとデッドが何処かから飛んできた。
(ある意味コイツが一番謎な奴だよな?案外コイツが証とやらを持ってたりしてな…)
「サトコ、タツヤ、蒼、えっと今は…こんばんは!になるのかなぁ?」
デッドはそういうとニッコリ笑った。
「こんばんはデッド」
「こんばんは!さてとこれからどういう方向へ目的を定めるか会議と行きましょうか!」
「こんな所で立ち話するの~?こんな場所だと誰に盗み聞きされるかわからないよ~?」
(オマエがソレを言うのかよ…(汗))
「まぁ個人の部屋みたいな場所が用意できたらいいけど個人が作る空間とか夢ってのは鍵の掛ってる家みたいな感じになるのでパーティには不向きな作りなのよね…」
「ふ~ん…ドアをノックして入れてもらったらいいんじゃないの~?」
「ドアというのが見えていれば、それぐらいは出来るかもだけどね…」
「だったらさ~どこかに僕たちの街を作ろうよ~」
「何処かから材料でも調達して?」
「え~パッと出したりできるんじゃないの~?」
「今の時点でパッと出したりできるのは武器とか道具ぐらいね…部屋はそのうち考えておくわ!たぶん聞かれたら困るような話にはならないだろうし、殆どの会話は簡単に聞こえたりしないものだから大丈夫よ」
「簡単に聞こえるらしい人はいるけどな!?」
俺はそう言うとデッドの方を見てニヤリと笑った。
「え~っ!なんか僕が悪者なの~?」
「デッド君はいい人よね!だから話をするのにいい場所とか探して来てくれたりすると有難いんだけどね?」
サトコさんの怖い笑顔がデッドに向けられていたがアレを怖いと思ってるのは、ひょっとしたら俺だけなのかもしれない…。
「わかったよ~!ちょっと待ってて~!」
そう言って少し頬を赤らめてニコニコしながらデッドはドラゴンに乗って飛びたった。
(なんて単純な奴だ…)
俺はサトコさんをじっと見ていた。
その視線に気がついたのかサトコさんは俺に問いかけてきた。
「どうかした?」
俺は小さな声で聞いてみた。
「サトコさん…その身体辛くないの?」
「自分の都合でこんな格好しているんだもの…多少のリスクは覚悟しないとね…」
「多少…なの?」
「そんなに心配するようなモノじゃないよ…この身体は乗り物みたいなものだから慣れるしかないだけだね」
サトコさんは、そう言うと笑っていた。
俺はそれ以上何も聞けなかった。
少しの沈黙の後デッドが戻ってきた。

Dream Quest 本編80

俺の夢は、いつもの殺風景な部屋からはじまる。
蒼は口調こそマニュアルの棒読みでは無くなったものの何かやりたい事はあるかだの、端末をチェックしろだのとうるさく言うのは相変わらずだ。
更新されてた内容は平和そのものな感じで特に気にするようなものはない。
「じゃあ行こうか?あ…そうだ!サトコさんさぁ…必ず先にいて俺達を待ってる感じだけど、サトコさん自身は探知能力って無いのかな?」
「よくは分からんが、ガイドの持つ基本的能力は当然持っているだろう…ただガイドの能力は本来の自分の能力では無からな?持ってるのと使えるのとは又別という事だ」
「それも同調とかと関係してるのか?」
「それもあるだろうが、タツヤはタツヤの持つエネルギーを全部タツヤの事に使えるのに対して、自分のものとは別の能力を使いたい場合、その能力を使うのにも当然自分のエネルギーを消費しなければならないわけだが、そんなに余分に使えるエネルギーってのがあると思うか?」
「俺…自分の事だけで使い果たしてそうだ…」
俺は何となく蒼の話を聞きながら、ぼんやりと蒼を見ていた。
(主人の言う事しか聞かないと言うガイドの蒼が、なんだかんだと文句を言いながらもサトコさんに言われた事をしてくれるのは、全部知ってたからなんだろうか…?)
「蒼も大変だろうけど…ガイドにしか出来ない事は、なるべく蒼がしてくれると嬉しいかな」
「当たり前だ!俺様の仕事を他の奴にやらせてたまるかっ!」
(ひょっとしてサトコさんにガイドの仕事を取られたくないからやってたのかな?(汗))
「なんか色々聞きたい事があったんだけど、起きて寝たら忘れちゃうな…まぁ余りここで時間掛けるわけにもいかないから、そろそろ行こう!」
俺達はいつものように扉を通り抜けて目的地へ移動した。
俺は辺りをキョロキョロして誰かいないか探して見た。
何か大きなモノの傍にサトコさんがいるのが見えた。
「サトコさん」
俺達はその場まで走って行った。
その大きなものは途中で折れた大木がそのまま石になったような感じだった。
「これって木が石化してるんですかね?」
「どうなってるのかはよくわからないけど、文字が書いてある所をみると、誰かが故意にやったという事なのかしらね?」
「えっ?文字?」
俺はソレに近づきグルリと一周回って見た。
「文字なんて何処かにありますか?」
「えっ?割と全面にぎっしりとあるでしょ?…見えない?何かの拍子に浮かび上がってくるのかな?ちょっとコレに触って見て」
サトコさんは石化した木に触れながらそう言った。
俺は木にペタペタと触れてみたが何も見えなかった。
「何も見えないと言うか…文字が浮かんでくるんですか?ちょっと蒼もやってみてよ」
蒼は木に触りながら木の分析をしていたようだ。
「特に意図的な仕掛けなどはなさそうだがな?」
「文字は見えてる?」
「何も見えてなどいないが?」
「そっか、やっぱり誰にでも見えるわけではないのね…」
「やっぱりって?」
「コレが初めてじゃないのよ…前にテスターとして調査で来てた時も物は木とは限らないんだけど幾つか文字が読めるものがあったの…でも、その時もマヤには見えなかったし、他の社員でそんな文字のある物を見たと言う者は一人もいなかったの」
「霊感とかが関係してるとか!?」
「私はそういうモノが見えた事も感じた事もないし割とそういうものとは無縁の生活をしてきた気がするんだけどね…」
(いかにも霊とか見えたり話がしたりできそうな外見だと思ったけど違うのか…)
「その文字?一体何語で…なんて書いてあるんですか?」
「何語?ふむ…何語なんだろう?でも書いてある内容はだいたいわかるのよね…年号みたいなものもあるので記録か…それとも予言という感じのものなのかしらね?単なる希望や妄想なのかもだけど…えっと読んで見るね…

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