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Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ9

21.jpg
さきほどダーク達と一緒にいた男が小高い丘から二人の様子を見ていた。
そこに似たような風貌の女性が現れた。
「アーケイン!仕事もせず何を子供と遊んでいたのだ!」
「おっキュリオじゃねーか、覗き見してたのか?相変わらず性格悪いなオマエ」
「このだだっ広い場所の何処から覗き見なんてできるんだ?サボリの言い訳ならもう少しマシなものにしろ!」
「サボってたわけじゃねーさ」
「私には子供と遊んでる様にしか見えなかったが?」
「ほら~やっぱり覗いてたんじゃねーか!」
「見えていただけだ…覗いてたわけではない!それに個人用の通信機を渡したな?上に知れたら始末書程度じゃ済まんぞ?」
「それは大丈夫さ、何らかの成果があれば上にも報告するつもりだしな…」
「アーケイン!一般人を巻き込むつもりか!」
「俺は巻き込んだりしねーよ?でも考えてみろよ…敵さんは俺達にゃ絶対に遭いたくないと細心の注意を払って行動してる連中だが、一般人に対してはそこまで思っちゃいねぇだろうさ、だとすると何かの拍子に敵と出会えるのは俺達よりもむしろ彼らのような連中の方じゃねーのか?その時に何事も無く通り過ぎる程度ならいいが、そうでなかったらどうなる?」
「なるほど…監視用か…」
「それに実際この任務って宇宙の闇に漂う塵を探せとか言う気の遠くなる話でもあるんだぜ?協力者は多いに越した事は無いさ…」
「そうかもしれんな…それでこれからどうするつもりだ?あの子達の近くで監視でも続けるのか?」
「いや、彼らが探していると言う、もう一つのパーティを俺も探してみようと思ってる。そっちから情報が貰えるかもしれんからな」
「外にいる一般人は少ないからな…貴重な情報源とも言えるか…」
「ま!ちょいと気になる事もあるんでな…そっちは女1人男3人だそうだ、もし見たら俺に知らせてくれ!」
「わかった、では私はもう行くからな!」
「おう!またな!」
女性は男の最後の言葉を聞く前に一瞬で消えた。
「おいおい…はえ~な…挨拶ぐらい最後まで聞けよ…ま!聞く程の事でも無いが…さてと…コチラもぱぱっといきますか…」
男はそうつぶやくと一瞬で消えたのだった。
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Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ8

「ダークさん?そろそろあの人達探しましょう?今聞いた話も教えたいですし…」
「今の話しが本当なら、この人と一緒にいるのが最も安全であり、なお且つプロのエージェントばかりなら人探しもお手のものという事です!僕はこの人と一緒に行きますよ」
またしても踏ん反り返ってニヤケ顔をしているダークの悪い癖が出たようである。
「おいおい、俺はこんなんでも仕事中なんだよ…子供の遊びの相手などしてる暇も余裕も無いし人探しとか手伝えんぞ!?さぁさぁ行った行った!」
男はそう言いながらダークとソフィアの背中をグイグイと押した。
「ちょっと…僕に選択の自由と権利は無いんですかっ!?」
「そんなものは無い無い!仕事の邪魔をすると逮捕するぞ?」
男は二人の背中を押し、前からはアテナとビクトリアが、それぞれダークとソフィアの手を引っ張っていた。
「も~それじゃただの駄々っ子じゃないですか~迷惑かけたら駄目です!行きますよっ!」
4人が男から少し離れた時、男は大きめの声でダークに何かを投げながら言った。
「おいぼうず!それは俺専用の通信機で俺としか繋がって無い!お互いの情報交換用だ!
ただし俺はおまえらの探し人を探してやる事はないし、おまえらも俺の探してるモノをわざわざ探す必要は無い!お互いたまたま見かけたという時にでも教え合うだけだ!いいな!?
あ、それから関係ない事をしゃべって来ても無視するし、俺が忙しくて返事できん時もあるが悪く思うなよ!?とりあえず今はそれで勘弁してくれや!
あ、そうそう俺の名はアーケインだ!じゃあな!」
そう言うと男は笑って手を振りながら一瞬で消えてしまった。
「あっ…行っちゃいましたね…」
「ふん、そういう芸当もできるわけですか…まぁ…またいずれ会えるでしょうから今はこれでいいという事にしておきましょう」
ダークは、そう言うとスタスタと歩き出した。
「えっ?なんでまた会えるとわかるんです?」
アテナもダークの隣まで行き歩調を合わせて歩きながら尋ねた。
ダークは横を向き手に持っているモノを突きだして見せて怒鳴るような口調で言った。
「君は今のやりとりを見ていたんですよね?コレ返さないつもりなんですか?」
いきなり手を突きだされたのでアテナはびっくりして飛ぶように一歩下がって立ち止まり、
それを見ていたビクトリアはアテナとダークの間に割り込んで構えた。
「ああ、ソレ…通信機でしたっけ…いずれ返さないと…ですよね…あはは」
そう言いながらアテナは照れ笑いを浮かべていた。
「笑い事じゃないんですけどね?それに君も!?今までの話から僕が何を手にしてて何を言おうとするのかぐらい充分予測可能なはずなんですけど、その過剰なまでの反応は一体何なんですかっ!?まったく…」
ダークは通信機を持った手を振りながらビクトリアに向かってブツブツと文句を言っていた。
「とにかく、次に行きましょうよ!次は誰に会えるかしら…」
アテナは嬉しそうに張り切って手を大きく上げていた。
ダークは立ち止まって腕の機械をいじり始めていた。
「次はって…君は全然懲りてないんですね?行く先々で頭に銃を突きつけられてたら頭が幾つあっても足りませんよ?」
「え~っ…結構楽しかったと思うんですけど?」
「何の実りも無く徒労に終わっただけなのに何が楽しいんですか!次に知らない人がいても無視しますからそのつもりでいてくださいよっ!」
「えぇ~実りはありましたよ?通信機も貰ってお友達にもなれたじゃないですか!」
「向こうはお友達が出来たとは思ってないと思いますけどね?これ以上グダグダ言ってたら置いて行きますよ?」
「あっ、はいはい!」
アテナは大急ぎでダークの傍に走って行った。
二人は転送の光に包まれて次の地点に消えたのだった。

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ7

「なんで僕に振るんですか!だいたい君の独自の判断基準が世界共通なわけない事ぐらいわかるでしょうに…まったく…えっとですね、探してるのは年齢的に10代後半から20代前半ぐらいの男女プラスアルファで女性1名男性3名そのうちの男性1人はそこにいるビクトリアと同タイプの人造人間で、後はドラゴン1匹というパーティで行動してるはずです。服装などの特徴もいりますか?」
「いや、いい!そんな奴ら俺は見てないな、そいつらも一般人?」
「そうです、何処行っちゃったんだろう…」
そう言うとアテナは下を向いて深いため息をついた。
「ちょっと待ってな!」
そう言うと男は後ろを向いて耳の所から出ている小型マイクのようなものにボソボソと話をしていた。
「ああ俺だ、ハイティーンぐらいの女1名、男3名にドラゴンだ!見た者はいるか?ん?いやコッチの関係者じゃない、ちょっと一般人に道を尋ねられてな!ははは、そっか了解、じゃあまたな!」
男は振り返ってアテナに向かって言った。
「残念だが誰もそいつらを見てないってさ」
「そうですか…でも今のは…えっとソレ?」
アテナは男の耳元にある小さいマイクのようなものを指さして尋ねた。
「ん?コレかい?これはただの通信機だな…ま!特殊な周波数とか使えるわけではないんで敵さんにも丸聞こえの可能性があるから殆ど使う事はないんだがね!」
「あのっ、わざわざ聞いて下さってありがとうございましたっ」
「ん?気にするな!どうせ何の成果も手がかりもなく暇してたところだったんだ!」
ダークは緊張感の無さそうなアテナに多少呆れながら男に向かって質問をした。
「あなたは何者なんですか?」
「ちょっとダークさんっ!そんな個人的な質問は…」
「まったく君は呑気ですね…僕たちは、たまたま無事でこうして話が出来ているだけで、ひとつ間違えば生きているかどうかすら分からない状況なんですよっ?さっきまで銃を頭に突きつけていた相手が何者かぐらい知る権利はあるでしょう!?」
「いや…だって私達は無事なんだし…ね…」
「それは、今は!でしょう!後で口封じに始末されないと言い切れるんですかっ!」
「し、始末されちゃったら、聞いても意味ないじゃないですかぁ…」
「知ってるのと知らないのとでは大違いなんですっ!!」
「ん?俺か?余り詳しくは教えてやれんが、ま!悪の陰謀を暴く正義の機関に所属するエージェントといったところだな!はっはっは」
二人はその話を聞いて色んな意味で目が点になっていた。
「外国でも中2病って流行ってるんでしょうかね?(ボソ)」
「ええっ?今のは本当の事なんじゃないんでしょうか…?(ボソ)」
二人は気を取り直して話を続けた。
「あの…CIAか何かですか?」
「ん?難しい事よく知ってるな?ぼうず!でもCIAそのものとは違う、ま!協力関係にはあるがな!それよりも俺らみたいなのがウロウロしてると言う事はだな、その対極にある存在も同じようにウロウロしてるって事だ!だから一般人…特に女子供は余り外側をウロウロしねー方がいいんだがな?」
「それが赤や青の人達…ですか?」
「ん?信号みたいに3人しかいねーとかなら、まだいいんだがなぁ…何人いるのかどころか、どの位の数の組織が入ってきてるのかすら見当もつかないんだな、これが!ははは」
「そんなに怖い所だったんですね…」
アテナはビクトリアの手を握って何か思いつめるような顔をしている。
「ん~怖いと言っても、今のところ一般人が襲われたというような被害は無いようだし、ま!裏でコッソリ悪い事をやりたい連中ばかりなんで、一般人を巻き込んで事が公になると困るだろうから、まず大丈夫だろ!?そんなに心配するな!ははっ」
男はそう言って笑いながらアテナの肩を軽くポンポンと叩いた。
「結局どっちなんだか…」
ダークは小さい声でボソリとつぶやいた。
「ま!そういう事だから、わけのわからん人間には極力近付かない事!怪しい事には興味本位で首を突っ込まない事!さっきは安心させるために言ったが実際そんな連中に絡まれたらコチラの身体を拘束されてしまう可能性もあるので目を覚ましさえすれば逃げられるなどと簡単に思わない事だな…」
笑顔の消えている男の顔はどこかゾクッとするほど怖いものがあった。
「はい、気をつけます。色々とありがとうございました」
アテナがそう言って一礼し、そろそろその場を立ち去ろうかとした時、ダークは何故かその場から離れようとはしなかった。

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ6

「きゃっ!」
「な、なんですかっ!?」
「ダークさん…後ろ…」
「後ろがどうしたんです?」
そう言いながらダークは座るような姿勢で後ろを向いた。
「・・・。」
そこには大きな男が両手に銃のような物を持ち、その銃口を二人の頭に突きつけて立っていた。
「なんだぁ?下手なスパイの偵察だと思ったら子供かぁ?おまえらどこの組織の者だ?」
「そ、組織って運営会社を言えばいいんでしょうかね?」
「この場面で、そんな事を聞いてるとは思えないですけどね?」
「あ、ひょっとしてリアルで通ってる学校名を言えばいいのかも?」
「それは、もっと違うと思いますけどね?」
「ん?なんかこそこそとしゃべってるようだが…なんか妙だね?ひょっとしておまえら一般人?」
そういうと男は銃を消して二人の目の前に胡坐をかいて座りこんだ。
男が油断したと思ったダークはソフィアを動かし男の背後から攻撃を仕掛けたが男は飛びついて来たソフィアの手首を軽く片手で掴むと柔道の投げ技のように投げた。
投げられたソフィアはこちらに向かって走り出していたビクトリアに当たって2人は重なるように倒れ込んだ。
「今のは、ぼうずが動かしたのか?向こうのお嬢ちゃんは自分で動けるらしいな…ま!とりあえず…物騒な物は無しにして、ゆっくり話そうや?」
男はそういうと目の前の二人に向かってニッコリと笑った。
「ビクトリア…こっちにきて動かないで…」
アテナがそう言うとビクトリアはアテナの横に来て一緒に座った。
ソフィアは無言でダークの後ろに立っていた。
「こ、これでいいのかっ!?それで…な、なんで僕がソフィアを動かしたのか分かったんですか!?なんで僕たちの行動がバレてたんですか?後で…僕たちを殺すのか…?」
ダークは最初は威勢が良かったが段々としぼんでいく風船のように小さい声になっていった。
「なんだぁ?俺が質問される側なのか!?ま、いいけどね…何故分かるかって?俺の持ってるモノの機能が、おまえらの持ってるおもちゃとは比べ物にならない程高性能だというだけさ?
当然おまえらがどういう機能の物を持っているのか、向こうのお嬢ちゃんがどういう仕組みで動くのかとか、そっちのちっこいお嬢ちゃんの性能とかもわかるし、おまらの筋肉の鍛え具合とか視線の鋭さとかそういう見た目…そんなのを全部総合してみると…どっかの組織のプロのスパイだとはとても考えられないわけよ!で、この近所には日本の小企業の作った遊園地のようなエリアが多くあるという事などから、恐らく一般人なんだろうなと思ったわけだが…だったら何故俺をコソコソと見張ってるのかの理由がわからんから一応聞いてみようかってなとこだ!?」
「り、理由を言えば解放してくれるんですか?」
「ん?俺が解放しないと言ったって、おまえらが寝るか起きるかしちまえば俺は追いかけて行く事などできないわけだし、いくら高性能といってもおまえらの名前や住所がわかるわけはないんだからな?ま!おまえらが今ここで逃げたとしても俺は必死に追ったり探したりする必要は無いと思ってるけどな!はっはっは」
男は雑談でもするかのように良くしゃべり、そしてよく笑う奴だった。
アテナは恐る恐る理由をしゃべりだした。
「えっと…隠れて近づいたのは、あなたがどんな人なのか分からないので用心して近づいて、どんな人なのか確かめようと思ったからで…その…元々は私達には探している人達がいるので、その人達を何処かで見かけなかったかって事を聞けるのなら聞きたかっただけなんです。本当にそれだけなんです!何をしてるかとか聞く気はなかったですしっ!」
「なるほど、どんな人かわからないから用心するというのは良い事だけど、俺ぐらいの相手だと、おまえらの可愛らしいやり方だと直ぐに見つけて捕まえる事も殺す事もできちゃうんだよな~。ま!今回は俺が怪しい人だとか危ない人だとか変な人だとか悪い人だとかで無かったのでよかったわけだが、これからは気を付けようぜ?
んで、探し人?ひょっとして青とか赤とか黄色い奴らじゃねーよな?」
「え…その信号機みたいな人は何ですか?そんな人は知りませんけど…私達の探してるのは…きれいな女の人と、耳の付いた男の人と、えっと…」
「ちょっと待て、お嬢ちゃん!も少し万人に通用する特徴で言ってくれ!」
「えっと、どう言えばいのかな?」
そう言うとアテナは隣のダークに尋ねていた。

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ5

「はぁ?頭脳を駆使し強くて人をひれ伏せて突き進む僕の雄姿!それ想像しただけでカッコ良くてワクワクして楽しくなるじゃないですか!なんでそれで疲れるんですか…変な人ですね」
ダークはそう言うと辺りを見ながら転送に手頃な場所を探していた。
「え?そっちのほうが変なんじゃあ?…それとも私の方が変なの…かな?」
アテナは突っ立ったまま小さな声で呟いていた。
「何ぶつぶつ言ってるんです?次行きますよ!?」
「えっ?あ、はい…いきます!」
アテナはビクトリアの手をとってダークの元へ走っていた。
2人が異動した先は、さっきと同じような景色だった。
アテナはキョロキョロと辺りを見渡しながら尋ねた。
「さっきと同じ場所なのでは?」
「横軸での移動しかしてませんから見た目に変化が無いのは普通ですよ!」
ダークは相変わらず偉そうに腰に手を当てながら腕の小さなモニターのようなものを眺めていた。
「ねぇビクトリア…ここはさっきの場所とは違う所なの?」
「はい。先程の場所から横に30km近く移動しています」
「相変わらず失礼な人ですねっ!移動は正常に完了してますよっ!そんな事程度で僕が嘘ついたって何の得にもならないでしょう!!」
「え…あ、嘘ついてるとか全然思ってないですよ?所で横に移動って何なんでしょう?」
「はぁ?縦軸が遠い近いが関係する移動、横軸は関係しない移動ですよ…数学とかで習ったでしょう?」
「えっ?横だってずっと行けば遠くなるんじゃあ…?」
そう言いながらアテナは横を向き、手を伸ばして横方向の遥か彼方先を指さしていた。
「そりゃ、ずっと行けばそうなるでしょうけどね?」
ダークは呆れたように言い捨てながら、ふと手元に目をやった。
「ここ、誰かいますね?あの人達じゃなさそうな感じですが…」
「ビクトリア?ここには誰かいるの?」
「はい。人らしき組成反応が1つありますが未確認人物だと思われます」
アテナがビクトリアにそう聞くとダークは顔をしかめながらアテナの方を見てボソボソと言った。
「僕が今そう言いましたけどね?」
「えっ?うん聞きました!これは…その、いつもの癖なので気にしないでくださいっ」
そういうとアテナはひきつった笑顔で答えた。
「まぁいいでしょう…それで?無視して次に行きますか?」
「あの人達じゃないんですよね?でもその人こんな所でいったい何してるんでしょう?」
「組成がどうのとかは僕にはわかりませんが特徴的に誰とも一致しませんから、あの人達じゃないのは間違いないですよ?…その人が何をしてるかなんてのは…僕が知るわけないでしょう!?」
「えっと…知ってるかどうかとかじゃなくて何してるのか考えてみようかなって…?」
「知らない人が何やってるのかなんていちいち気にするのは余計なお世話ですよ!?知りたいのなら聞いてくればいいのではないかと思いますけどね?」
ダークは目を細めて呆れた顔で答えた。
それを聞いてアテナは両手を前で合わせて嬉しそうに言った。
「そうですね!聞いてくればいいんですよね!?聞いてみましょう!ビクトリア、その人どこにいるの?」
アテナはビクトリアと歩き出そうとしていた。
「アテナさん!君は僕の話しちゃんと聞いてたんですか?何者かもわからない人物に何してるとか聞く必要なんかないでしょう!?」
ダークは少し怒ったかのように言い放った。
「えっ?何してるかなんて聞かないですよ?あの人達を見かけなかったか聞きたいだけですから!」
「なるほど…それはアリかもしれないですが…相手が友好的な人物であるかどうか分からないんですからね?」
「うんうん、一人だけだって事だし、とりあえず姿が見えるぐらいの所に行って、どんな人なのか見てみましょうよ?」
「はあ…見つかって大変な事にならないといいですけどね…」
4人は見えないぐらいの所まで走って行き、ある程度近くなると四つん這いになって前に進んだ。
「そろそろ見えますかね?(ボソ)」
そう言うとアテナは、そっと顔を上げて前方を見てみた。
「あ!あんまり頭を高く上げると向こうから見えてしまいますよっ!」
「あれ?私達…真っ直ぐ進んでたんですよね?人がいなくなっちゃいましたよ?」
「こんな所で全く動かないでじっとしてる方がおかしいでしょ?多少は移動するんじゃないですか?」
「あ、そっか…どっちに行っちゃったんだろう…ビクトリアどっちの方向かわかる?」
そう言うとアテナは膝を立てて辺りをキョロキョロ見渡した。
「探知できません…いなくなった可能性があります」
「えっ?消えちゃったの?起きてしまったのかなぁ…」
そう言いながら、ふと後ろを向いた瞬間それは目の前に立っていた。

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ4

「えっ?ビクトリアはそんなに弱いんですか?」
「僕のソフィアは1万前後あったんですよ?今は新しく新調したので、まだ500ぐらいしかありませんけどね…だけど外のこの辺りにいるヤツラでさえ平均100ぐらいはありますよ?君の所のガイドさん?主人は何もせず何も知らず…代わりに色々やってくれて至れり尽くせりな感じは悪くはないですが、ビクトリアが戦闘で壊れたり死んだりしたら君なんか一発で路頭に迷うんでしょうね…そーゆー事ちゃんと理解してました?してないだろうと思いますけど…僕がいて本当によかったですね」
ダークはドヤ顔をしながらアテナを見て言ったが、アテナはダークを見ておらずビクトリアに抱きついて独り言のように呟いていた。
「ビクトリアがいなくなると私…考えもてもいなかった…早くあの人達を探さないと…」
「僕の話しどころか…存在そのものも無視ですか…いい根性してますね…」
ダークはボソリとつぶやいていた。
「とりあえず、ここにはいないようですので次の場所へ移動しましょう」
「本当に、こんなやり方で見つかるのかなぁ…」
「他にもっと効率の良い方法があるのでしたら喜んで採用しますけど?」
ダークがそう言いながら機械を触っていると何処からか小さい生き物が数匹飛んで来ていた。
全身に毛が生えたバレーボールほどの大きさの丸い生き物だが背中には蜂のような羽があり、ダーク達に向かって体当たりしてきたのだった。
全身が毛で覆われているせいか当たってもポコっとした僅かな衝撃がある程度だったが、ソフィアはそれらを一瞬で消し飛ばした。
「なっ!なにするんですか!こんな可愛くて弱い生き物を殺すなんて!」
アテナは大きな声で抗議した。
「アテナさん…君さ、あの戦闘能力に乏しいビクトリアを無理やり外へ連れ出そうとか、弱くて見た目が可愛いから殺すのは可哀そうとか…外側を舐め過ぎですよ!?」
「舐めてなんて…ただ別に殺さなくてもいいのじゃないかと…」
ダークは最初は余裕な話し方をしていたが徐々に歳相応な話し方に変わっていた。
ある意味気持ちに余裕とやらが無くなってた証拠だのだろう。
「今の奴らは僕達にじゃれついてきたわけじゃなくて、あれでも攻撃してきてたんですよ!?今の奴らが毒や麻痺などの特殊能力を持ってたらどうなってたと思ってるんだよ?もっと攻撃力が高い奴だったら全滅するかもしれなかったんだぞ?それにビクトリアが壊れでもしたら困ったり悲しんだりするのは君じゃないのかっ!?だったらビクトリアが壊れないでいいようにもっと鍛えたりするべきだろ!そんな事もしないで殺したり殺されたりが嫌だとか言うだけなら、さっさと元の所に帰ればいいだろっ!あの人達だって君みたいなのに探されても迷惑なだけだよっ!!」
アテナは暫く黙って考え込んでいた。
「うん…ごめんなさい、私って駄目ですね…でもこんなんじゃ駄目だと思ったから此処に来て、いろんな体験をして…そして強くなりたいと思ってたのに…私、心を鬼にして頑張りますからっ!」
アテナは小さくガッツポーズのような事をしてダークに言った。
ダークは気持ちが少し落ちついたのか普段の調子に戻って話はじめた。
「心を鬼に?なんか違うような気がしますけど、そうしたいというなら好きにしてください…ああ、それと…ここは既に外ですので何があるかわかりません!ですから僕が転送装置を作動させてる間とか周りに気を付けていてくれると有難いんですけどね?」
「あ、はい、頑張ります!ビクトリア何か来ないか見張ってようね!
だけどダークさんって小学生なのにしっかりしてますね?」
「僕がいつ小学生だと言ったんですか?僕はこれでも中学生ですよっ!?君って本当に失礼な人ですね…まぁいわゆる天然というやつで自覚はないんでしょうけど、そんなんじゃ
さぞかし知らない所で嫌われたり敵を作ったりしてるでしょね?」
「えっ、あのごめんなさい…知らない間に嫌われる…そうだったんだ…でもダークさんだって人の事言えないと思いますけど…?」
「僕は自覚もしてるし分かっててわざと言ってるんです!君と一緒にしないでくださいっ!」
「ええっ?なんでわざと嫌われるような事を…?」
「沢山の人に嫌われて沢山の敵がいても、それに負けることなく勝利する者が真に人の上に立つ大物になるんです!敵の数イコール自分の偉大さなのですよ!」
ダークは自信満々に答えていた。
「え…そうなのかな…普通に皆から好かれて慕われて頼られるような人が上に立つ人となるような?」
「それは単なる理想論ですよ!?それとも生まれた時からそうなるべく生まれたという人なんじゃないですか?…僕のような凡人は多少ズルくても頭と道具を駆使して何とかしないと駄目なんです!」
「随分難しい事考えているんですね…そんなんじゃ疲れませんか?」

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ3

「とにかく行けばレーダー探知で、その周辺のかなりの範囲の様子がわかりますから行く先々で走り回って探す必要はないんですよ!いなければレーダーの範囲外の場所に移動すればいいのですから!」
「なるほど、それなら見つけられるかも知れないですねっ!」
「少しは僕を頼もしく思えましたか?」
「え…あ…少しだけ…ね」
「本当に少しみたいですけど…まぁいいでしょう!では行きましょうか…えっと、なんて名前なの?」
「私?アテナです。彼女はビクトリア」
「アテナですか」
そう言うと少年は少し鼻で笑った。
「僕はダーククルセイダー4世と呼んでください」
「えっとダークさん?ダーク君でいいのかな…?」
「ダーククルセイダー4世ですっ!」
「ええっ…ダー・クク・クル・セーバーさん?」
「クが1つ多かったしセーバーじゃなくてクルセイダーですよっ!もうダークでいいですよ…」
「ご、ごめんなさい…じゃあダークさん、よろしくね」
そういうと少女は軽く会釈しながらほほえんだ。
ダークは少し頬を赤らめながら悪態をついている。
「ふ、ふん!とりあえず僕が転送装置を使います。一度に20人は運べる優れモノですよ!」
そう言うと、腕の袖をめくって腕に付いた小型のパソコンのような機械を触りだした。
アテナはダークの自慢のような話を適当にスルーしているようだった。
地面が黄緑色に発光したかと思うと巨大な魔法陣のような模様が浮かび上がった。
地面に書かれた文字のようなものが身体にまとわりつくように全身を覆うと約4名はヒュンという音共にその場から消えた。
到着地点では、さっきとは逆の事が起こり身体の文字が消え、地面の図形も光も消えた時、アテナはしきりに自分の身体を触ったり見渡したりしていた。
「どうしたのさ?転送は初めてだったとか?」
「え…いえ、なんかビクトリアの使うやつと全然違ったので…」
「メーカーの違いや製品ごとに多少の違いがあるのは普通の事だと思いますがね?」
「え…製品って…うん、そうだよね…」
「ねぇ…ダークさんあなたのガイドは何もしないの?」
「ガイド?ひょっとしてガーディアンの事ですか?ソフィアはボディガード兼対戦用人型兵器みたいなものですからね、君の所は観光がメインなのかもしれないけど、僕たちはリアルゲームを楽しむためにここに来てるわけですから、こいつらの仕様が全然違っていても不思議じゃないんですよ?わかってるんですかね…」
「そうなんだ…なんかわかったような、そうでもないような…」
アテナはそう言いながら複雑な顔で笑っていた。
「アテナさん!君はあの人達のデーターとかお持ちなんですか?」
「データー?私はもってないけど…何するんですか?」
「持ってないんですか!?レーダーに目標物の情報を入れないと探知できないじゃないですか!まったく…探す者が特定すら出来なくて、どうやって探すつもりだったんだか…」
ダークは徐々に声が小さくなり最後の方はブツブツと独り言をいっているようだった。
「戦闘時のデーターが少しあったはず…アレが使えたらいいんだけど…」
ダークは相変わらずブツブツと言いながら腕の機械を触っていた。
アテナはビクトリアを呼んで話をしはじめた。
「ビクトリアこのあたりにあの人達はいるかしら?」
ビクトリアは四方に向きを変えアテナの正面に戻った時に報告した。
「この辺りにはあの方達も人も居ません」
「よし、このデーターでなんとかなりそうだ…って、君のソレ…探知能力があるんですか…」
「ソレじゃなくてビクトリアですっ!ビクトリアは一度会った人とかは大抵覚えててくれますよ?」
「ふ~ん。君はどの位の範囲で探知可能なんです?それにどうやって個別のデーターを収集してるんだ?」
ダークはビクトリアをジロジロと眺めながら尋ねてきた。
「広域スキャン可能範囲は、およそエリア1つ分程ですが、通常時のレーダー機能は1km四方程度です。個人の識別は最初の段階でスキャンが完了していれば以後は認識可能となります。」
「ふ~ん、結構優秀なんですね…」
「へぇ、ビクトリアって凄いね!私そんな話初めて聞いた!」
アテナはそう言うとダークを押しのけてビクトリアの両手を掴んで嬉しそうにはしゃいでいた。
「自分のメカの性能ぐらい、きちんと知っておくのが主人の努めですよ?…まったく…」
「ビクトリアはメカなんかじゃないですっ!」
「…はいはい、何だろうと知っておくのが普通なのは変わらないんですけどね…」
ダークは頭に手を当てて首を振っていたが、ふと手を止めて頭を上げた。
「そうだ、君達のデーターを登録しておかないと…」
ダークはそう言うと、またしても腕の機械を触りだした。
「ぶ!君…戦闘能力130って、よくそんなので外に出ようとか思いましたね?」
ダークは情けなさそうな顔をしてビクトリアを見ていた。

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ2

「ちょ…ちょっと待って下さいよ!探すって、どこにいるか知らないんですよね?」
「全然知りませんけど…?」
少女はキョトンとして答えた。
「行きそうな場所の心当たりでもあるんですか?」
「あなた、さっきから随分あの人達の事気にしてますけど、ひょっとして探して見つけて仕返ししようとか思ってるんじゃないですよねっ?」
青い服の少女は少年に迫るように前に出て怒ったような口調で言った。
「ち、違いますよっ!」
少年は2歩ほど後ずさりしながら答えた。
「じゃあなんで探しているんですかっ?」
「なんで君にそんな事を教えなきゃいけないんですか?!それなら君も…何故あの人達を探してるんです?」
「えっ…それは…」
青い服の少女も1歩下がって下を向いた。
「仲間にしてください!とでも言うつもりだったんですかね?」
少年は気を取り直してメガネを触りながら問いかけた。
「それはもう…こないだ一緒に連れて行って下さいって言ったんです」
「なんだ…じゃあ待ち合わせわせ場所でも忘れたんですか?それとも置いてきぼりにされたんですか?」
「ううん…一緒には連れていけないって言われたの…」
「はぁ?だったら何故探してるんですか?」
「それでも一緒に行きたくて…」
少年は呆れたような顔で少女を見ていた。
「さっぱり分かりませんね…」
「じゃあ、あなたは何故探してるの?人に聞くだけはズルいですっ!」
少女の問いに少年は一瞬ビクっとしたが平静を装って答えた。
「ぼ、僕は君と違って強いですからね?それで僕があの人達を助ければ、それで貸し借りは無しになりますから…さ、さっさと借りを返したいだけです!」
「ふ~ん…なんだかんだと理由付けてるけど、要は仲間になりたいって事ですよね?」
「そ、そんなんじゃありませんよ!君と一緒にしないでくださいっ!」
少年は少し顔を赤くしてうろたえていた。
少女は何かを思い出したように周りをキョロキョロして
「とにかく私は頑張って探して見ますから…」
そう言うと何処かに歩きだそうとした。
「だから、ちょっと待って下さいって!目的が同じなら1人より2人の方が絶対に有利なんですよ!?」
少女は少し考え込んでいた。
「でもあなたは他社の人だし、私はあなたのことよく知らないし…」
「どこから来たかとか、そんなのは関係ないですし、知らないならこれから知ればいいでしょう?」
少年は自信満々に言ったが少女はまたしても考え込んでいた。
「私の知ってるあなたって…実はかなり最低の最悪なんですけど…」
少年は一瞬苦い顔をしたが何故だか堂々と笑って答えた。
「結構ズケズケという人だったんですね…これでダメージはお互いにチャラですね!それに僕と一緒にいれば最低だというのが間違いだと証明してみせられます!」
「あのぉ…なにがチャラなんでしょう?」
「君が僕の事を最低の最悪だと言った事ですよ!僕の心は深く傷つきましたけど僕も君を傷つけたので、これでチャラですね?」
「えっ…そうなのかな?なんか違うような気が…」
「とにかく何処に行こうとしてたんですか?」
「えっ?まだ全然考えてなかったですけど…」
少年は、またしても呆れたような顔をしながらも何故だか偉そうに言った。
「やっぱり僕がいないと駄目というわけですね」
青い服の少女は、なんとなく納得がいかないというような顔で黙って少年を見ていた。
「しかし何処へ行けばいいのやら…という事ですよね」
少年は少女の不満そうな顔を見なかったかのように話を進めていた。
「ビクトリアが外に出たんじゃないかって…」
「外にですか…なるほど、ますます僕の腕の見せ所ですね」
「外って物凄く広いんですよね?いったい何処に行けばいいのかしら…ビクトリア何か分かる?」
「予測できません。情報が不足しています。」
「君はあの人達がここで何をしていたのか知ってるんですか?」
「ここで?虫と戦ってましたけど?」
「ハンティングでもしていたんですか?」
「ハンティング?単なる戦闘訓練だったと思いますけど…」
「訓練?訓練が必要な人がいたという事ですよね…どのぐらいやってたんです?」
「えっ?たぶん1回だけだと思いますけど?」
「ふむ…それなら…いきなり遠くへ行くとは思えないですし、だからといって極端に近い場所にいるとも思えない…そうなると次は手頃な場所で、もう少しLVを上げようという感じでしょうか!?どうです僕の推理!なんか冴えてる感じしません?」
「私達にLVなんてないですよ?それに手頃な場所って何処なんですか?」
「そっそれは…とにかく適当に行ってみて、そこに居なかったら次の場所へ!これです!」
「適当にって…そんなので大丈夫なんですか?」

Dream Quest 本編部外 奇妙なパーティ1

LV1第5草原地区
少女2人が何やら向かい合って話をしている。
青い服の少女が中腰になって金髪のお姫様のようなガイドに向かって尋ねる。
「ビクトリア…どう?あの人達は見つかった?」
金髪の少女は無言で首を横に振った。
青い服の少女は姿勢を伸ばして辺りを見渡しながら金髪の少女に語りかける。
「もうここにはいないのかしら…でも何処に行くのかなんて聞かなかったからなぁ…
ねぇビクトリア、あの人達何処に行ったと思う?」
「わたくしは遊戯エリア全域を調べたわけではありませんので断言はできませんが断片的なあの方達の会話や様子から分析してみますと人造領域よりも外側へ行かれたのではないかと思われます」
「外側?私達も行けるの?どこかに出口があるのかしら?」
「調査済み領域ならば、わたくしでもアテナ様をお連れする事ができますが、決して安全な場所ではありませんのでお薦めはできません」
「安全な場所なんてどこにもないもの…」
青い服の少女は小さい声で独り言のように呟いた後、再び中腰になって金髪の少女の目を見ながら元気に訴えた。
「ううん、危険でもいいの!そこに行きたい」
「わたくしがお連れできる場所に、あの方達がいらっしゃる保証はありません」
「そうねぇ…適当に探して見つけられる程甘くは無いのかなぁ…やっぱり諦めた方がいいのかなぁ…」
青い服の少女は何かを考えるようなポーズで遠くを見つめていた。
「アテナ様…例の者がコチラに向かって急接近中です!逃げなくてはいけません」
金髪の少女は蒼い服の少女の手を取り走り出そうとした。
「例のって…?あの人達じゃないの?」
「違います!先日の危険な人物です!速やかにこの場から離れてください」
「ちょっと待って!そんなに慌てなくても…」
青い服の少女は自分の手をグイグイとひっぱる金髪の少女の手をひっぱり返して制止させた。
「その人が、あの人達の行き先を知ってるかもしれないわ!聞いてみましょうよ?」
「穏便な対話が可能であるかどうか疑わしいものがあります」
「とりあえずやってみましょう!?出来なかったら、その時に逃げるなり考えるなりすればいいのよ!」
「もう近いです!気を付けて!」
金髪の少女は蒼い服の少女の前に出て、来るべき者に備えて武器を構えた。
「あっ!君は…」
そこに来たのは例の少年だったが向こうも少女を見て驚いているようだ。
金髪の少女は蒼い服の少女の前で武器を構えていた。
「なっ…別に戦いに来たわけじゃないし何もしないよっ!」
少年はそのように言ったし少年の連れているガーディアンも少年の後ろに立っているだけで特に何かしそうな雰囲気は感じられなかった。
「ビクトリア…大丈夫みたいよ?」
青い服の少女がそう言うと金髪の少女は構えを解いて青い服の少女の隣に行った。
少年は何となく下を向きながら恐る恐る尋ねた。
「あのっ…身体…大丈夫だった…みたいだね?」
「えっ?ああ…うん、びっくりして起きちゃっただけだったから…」
「ふ~ん、そっか…でさ…君はあの人達の仲間なのですか?」
少年は気にしていた彼女の無事も確認できて、それで一件落着だとでも思ったのか、いつもの調子の口調で話をしはじめた。
青い服の少女は、そんなことは気にせずに話を続けた。
「えっ…?あの人達って…昨日の?」
「僕を襲ってた方の奴らじゃ無くて、後から来た方の奴らですからね?」
「え…うん、わかってるよ…でも違うよ…仲間じゃないの」
「なんだ違うのか…がっかりですね…何処にいるかは知っているんですか?」
「むぅ…知ってたらこんな必死になって探してませんよ!だいたい何であなたが、あの人達の事を気にしてるんですか?ひょっとしてちゃんとお詫びを言おうと?」
「なっ、なんで僕が今更お詫びとか言わなきゃなないんですかっ!でも君…あの人達探してるんですか…?なんだったら僕が一緒に探してあげましょうか?」
少年はついさっきまでとうって変わってメガネを触りながら嫌な笑顔を浮かべていた。
「えっ?大丈夫です!私達で探しますから!」
少女は、そう言うとペコリとお辞儀をして、その場を去ろうとしていた。

Dream Quest 本編部外 証の章1

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シベリア某所
人が立ち入る事も無いような極寒の地にひっそりと建てられた真白な建物があった。
表向きは人類資源研究所と言う名の半民間企業で、人類増加による食糧や酸素不足、二酸化炭素の増加など近未来に起こるべく危機を脱するための研究と言う事で幾つかの国が支援金や補助金を提供している。
その建物の地下では白衣の研究員が慌ただしく動きまわっていた。
「ヴァーユ様がまもなくコールドスリープから帰還されます」
「機関準備完了!バイタルサイン良好、カプセル内温度上昇、酸素量、圧力共に異常無し」
「カプセル内温度15度、バイタルサイン良好、体温の自然上昇、血圧上昇は正常範囲内です」
「覚醒抑圧剤投与、カプセル内温度上昇、16、17…」
その頃…別室の巨大なモニターが幾つも置かれた指令本部のような部屋では奇妙な男性2人が話をしていた。
銀髪に白い長衣の参謀風の男性が卓上のモニターを見ながら、ここのトップらしき人物に語りかける。
「ヴァーユが戻ってきたようですね、こちらに呼びますか?」
「ヴァーユか…探し物が見つかったとは思えんが念のために後で報告をさせよ!それよりアカシャの様子はどうなっている?」
「アレまだ受胎2月目という所で成長としてはまだ3cmほどの生き物ですが、既に脳や臓器は程度出来上がり機能し始めているようですね…そろそろ成長加速プログラムを実行させますか?」
「そうだな…適当な大きさになった頃にクローンを3体ほど予備に作って保管しておけ!」
「保管…でよろしいので?」
「そうだ!アレに使えそうな新しい遺伝子はまだ手に入っていない…アレには是非とも試してみたいものがあるのでな…」
「デジャスはいかがいたしましょうか?最近命令違反が目に余るとプリトが手を焼いているようですが…」
「捨てておけ…プリトには引き続き高等生物の探索とそれらが形成している世界の所在の調査を急がせろ…そうすればいずれ必ずデジャスも必要になるであろうからな」
「わかりました。後…地上班から2、3、気になる報告が…」
「地上班から?」
「はい。アメリカの軍事施設を調査したところ、裏で軍事的な利用目的で何か動いているらしいとの事でしたが、そこに関わっているのは魔術関係者を首謀とする組織のようです」
「魔術関係者?魔術結社か?…あやつらは常に政治や戦争の裏で動いてるのだ、特に珍しくもあるまい!?」
「それが…そこに本物の夢魔が関与していて現実に影響を与えている可能性があるとの事です」
「本物の夢魔がコチラにいるだと?そんなものの存在はあり得ん!夢魔の正体については特に詳しく調べさせろ!その飼い主についてもな…念のため組織のメンバーを調べてリストを作っておけ!」
「はい。それと…アメリカの軍事利用に留まらず、幾つかの国では戦闘訓練や戦闘要員の洗脳などを闇で請け負っている組織があるらしいのはわかっていましたが、それに対抗して組織を取り締まり必要ならば壊滅させようとする組織が本格的に動き出したようです」
「ふん…どのみち裏の関係者がらみであろうが…地上ですらギャングもヤクザもマフィアも犯罪も…どれ1つ無くす事も減らす事もできないくせに…向こうで一体何ができるというのだ…笑止な」
「どういたしましょうか?」
「こちらから手を出して、わざわざ存在を知らしめてやる必要は無かろうが…もしコチラの動きが少しでも知れているようならば、プリトに言ってデジャスに始末させてもよいが…あくまで隠密にな!?他に何かあるか?」
「はい。特にはありませんが、最近では観光や遊戯目的での開発などを手掛ける小企業と、そこに属する客という者達が増えているようです。特に問題の無い一般人ばかりのようですが、プリト達が不用意に接触してしまう可能性があり、その場合どのように対処すべきかと…」
「ヴァーユの例があるからな…探し物は存外そういう所に紛れているやも知れぬな…
ヴァーユの次のスリープでは、そのような観光客を重点的に調査をさせろ!ただし手出しはさせるな!姿も見られてはならん!」
「了解いたしました」
「アレを持つ者ははかならずいる…来る!…何としても探し出さねば…
ワシは少し休む!後の采配はお主に任せる!」
トップらしき人物は、そう言うと部屋を出て行った。
「はい。いってらっしゃいませ」
白い男は深々と礼をしてから振り返り幾つものモニターを食い入るように眺めながら手元のマイクのボタンを押してしゃべりだした。
「ヴァーユ!帰ってきて直ぐの所すいませんが、こちらに来ていただけますか」
白い男の見つめるモニターには、まだあどけない少年の姿が映っていた。

Dream Quest 本編部外 戦争の章2

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「おやおや…まぁまぁ、馬鹿はどこにでも際限なく沸いてくるものなのね~本当に面倒臭いわねぇ~」
「むっ?キサマいつからそこに?」
「いつだったかしらぁ?悪いけど昔の事は覚えてないわ?」
そこには来客用の豪華なソファーに、大きなスリットの入ったイブニングドレスのようなものを着て足を組んで座りながら爪を磨いている妖艶な女性がいた。
「まぁよいわ…そこにいたなら話が早い、さっきの男にとびっきり上等の夢をみさせてやってくれ!直ぐにだ!」
偉そうな男は汗を拭きながら落ちつき無く自分の椅子に腰かけた。
「まったく、どいつもこいつも使えん奴ばかりだ!次はどいつにやらせるか…くそっ!そもそも、やり方が回りくど過ぎるのだ!直接要人を始末すればいいものを!」
偉そうな男は女性の目の前まで歩いてきて両手を広げながら訴えていた。
「私達は殺し屋じゃなくてよ?要人がいなくなれば支配する相手が一人もいない世界で支配者を目指す事になり、なお且つ恐怖にひれ伏す人が誰も居なくなるなんて、そんな世界はとってもつまらないわ?」
「そんな理想論はどうでもよいのだ!世界のトップが全員いなくなったところで、人間がいなくなるわけではないのだから全世界の統治は充分可能ではないか!」
偉そうな男はとてもイラついて女性の座っているソファを思わず蹴った。
「私達の“理想”に賛同も協力もしない人間は不要なのよ?」
女性はゾッとするような目と頬笑みで男を睨んでいた。
「と、とにかくだ…まずは目先の障害をどうにかせねばな…さっきの男の事はキサマに任せてもよいのだな?」
「そうね~?彼には私が直接行って差し上げてもいいわね?その時には上司からの最期のささやかな贈り物だと言っておいてあげるわ?」
「余計な事は言わんでもよい!」
「あら~そうなの?あなたの最期の遺言なのに?」
「なっ!キサマどういう事だ!この私を裏切るというのか!?」
「あらぁ?裏切れるほどにあなたと仲良しになった事なんてあったかしらぁ?
おやすみなさい坊や…よい夢を!」
そこにはとても偉そうな風貌をした男が、とても豪華な椅子に座ったまま眠りについていた…恐らくは永遠の…
「そうそう…際限なく沸く馬鹿って、あなたの事よ?」
そう言うと女性の姿は消えていた。

Dream Quest 本編部外 戦争の章1

アメリカ某所
古めかしく大きな建物が荒野の奥に建てられていた。
軍事関係の古い研究施設の1つのようであるが、ここでの研究内容が公にされる事は無く、古い時代には極秘の研究が行われていたという噂があったものの現在では既に使用されていない壊れた施設だと噂されるほど忘れ去られた場所である。
建物内
位の高い軍人のような身なりの男が足早に廊下を歩いている。
カツカツカツカツ
とある大きなドアの前で止まった
ドンドンドン!
「失礼する」
男はドアを開けて部屋に入るなり、おもむろに大声で怒鳴った。
「あれは、いったいどう言う事だ!」
部屋には、これまた地位も位も高そうで、なおかつ偉そうな男が大きな窓から外を眺めていた。
歳の頃なら50は過ぎているだろうか、立派な口髭を生やし、貫禄と言うよりはメタボな体型の男である。
「何を大声を出しているのかね?」
「あんたに渡した囚人が全員死んだ!どういう事か説明してもらおう!」
私に渡した?おかしなことを言う…私が貰ったのは囚人のリストという紙きれ1枚だけだったのではなかったかな?
それに私は囚人に会って触れるどころか刑務所にすら…いやその国にすら行った事も無いというのに…まるで私が囚人を殺したとでも言いたそうに聞こえて来るのだが…聞き違いだろうかね?」
「あんたは極秘事項の人体実験用に他国の囚人のリストを渡せと言った!
他国の囚人リスト程度なら手に入れるのは容易いが、その後に実験許可の申請をした事実もなければ誰かが入国した記録すら無い!だが、そのすぐ後にあの囚人達は全員死んだ!
あんたが何かしたのは間違いないのだ!
あんたが直接動かなくても、あんたの命令で裏で動く奴はいくらでもいるだろう!?
何をした?ドーピングか?麻薬か?毒ガスか?細菌兵器か?」
「囚人はしかるべく機関で解剖され検死の結果は君も見たのであろう?」
「それで納得できてたら、ここには来ていない!
極秘任務だかなんだか知らんが、この先何も知らされずに他国の囚人の情報を集めさせられるのは納得いかない!しかも囚人だからと言って何をされてもいいというはずもない!なぜ殺さねばならないのかとか多少の説明ぐらいはして頂きたい!」
「おかしなことを言う…どのみち死刑か無期懲役になる奴らだったのだから、そいつらが少しばかり早く死んだ所で何の問題があるというのかね?まぁそれでもさすがに自国の囚人を使う訳にはいかんのだよ…私の目の届く場所では常に何事も無く平穏でなければならないのだからね。」
偉そうな男は、何かを思い出すようにニヤっと笑っている。
「いいかね?君の許可や納得や同意なんてものは必要ないのだよ?それが国家命令というものであろう?
それでも…囚人がまとめて死ぬと多少は問題にはなるか…次は国も年齢も性別もバラバラの一般人のリストを頼むとするかね…心配しなくても、こうして話してる間に世界中では何人もひとが死んでおるのだし、その人物同士に何の繋がりも無ければ問題にもなるまい」
「俺や他人々の人権までをも、ないがしろにするのかっ?一般人だど?人の命を何だと思ってるんだ!あんたは狂ってる!」
「何を今更言っておるのだ?君が立派な地位を得て立派な服を着て高価な勲章をぶら下げて今ここに立っていられるのは、どうしてだか忘れてしまったのかね?
君だって、戦争で沢山の罪に無い人を殺したのではないのかね?何が違うというのだ?」
「それは…」
「やれやれ…アレは君のように頭も口も軽そうな連中への警告でもあるのだよ?
君がそれ以上喚き散らすと君や家族があの囚人のようになるかもしれないという…ね?
そんな事もわからなかったのかね?」
「それは…脅迫というわけか?」
「私は、いちいち言ってやらなければ分からんような馬鹿な屑に用は無いのだがね?
脅迫?私がそんな親切な事をしてやる値打ちが君にあるとでも思っているのかね?」
「とにかく俺は、もうあんたの下で訳の分からない血なまぐさい事をさせられるのは我慢ならない!明日にでも本局に申し出て配属変更を申し出る!それで私のして来た事への罪を問われるのならそれも受ける覚悟でだ!それで地位や財産の全てを失うならそれでもいい!」
「ちょっとは落ちつきたまえよ!これは私の私事ではなく国家命令なのだよ?何も知らない君の戯言に取り合ってくれる者などいないだろうし、そんなことしたら本当に君や家族がどうなるか…」
「構わん!俺だって多くの戦いを体験してきたプロの軍人だ!そう簡単にあんたに殺されてやる気は無いからな!失礼する!」
そう言うと男は乱暴にドアを開けて出て行った。

Dream Quest 詩編

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暗い暗い底なしの闇に落とされて

もう何も見えなくなって 何も考えられなくなって そして僕は死んだ

ここが僕の新しい世界で 僕が生きていける場所?

僕の中には 全てを無くした空虚感と 何でもあるという躍動感が 

常に心の中にあって揺れている

本当の事なんて何もない 本当の事なんて知らなくていい

だけど、僕は時々思い出してしまうんだ

本当は、自分から堕ちたんだって

最悪だね…

Dream Quest 新章突入

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この画像は少年のガーディアンのソフィアのイメージ画だったんですけど
どうも管理人(作者)は、ロボット系が苦手で全くもってカッコよく描けないので
ソフィアに関しては、まだ試行錯誤中なのです(汗)

本編は新章突入!といっても、やっと外の世界へ出たぞ!というだけで
これからも色々あるので(?)本筋の話は、いつ登場するんだ?という感じですけど
そろそろ【一方その頃××では…】という感じで、同時進行している別の登場人物達の動きや物語を
織り交ぜて行く感じになると思います。
まぁ…いわゆる悪役登場!みたいな感じですね(笑)

後は、それそれの登場人物の、本編ではまだ明らかになっていない
現実の生活に関係した詩(モドキ)などもUPしてゆきます。
それぞれのリアル事情というのが、そのうち本編で明らかになってゆくのですけど、
本編で明らかになった時に「ああ…あの詩は、そういう事だったのか」と
繋がるような感じにしてあるつもりなのですが、
詩も苦手なので、どうなることやらです(汗)

Dream Quest 本編79

「そんなすごいものだったんだ…」
「うん、本当に凄いね~蒼ってさ~ひょっとして子供の時に何処かの特殊な施設に入れられて戦闘訓練やら超能力訓練とかさせられたりしたのかな?その耳とかは実は改造手術だったり?」
そんな事を言いながらデッドは蒼の耳を引っ張っていた。
「おい…コイツは何を言ってる?いや…何をやっていると聞くべきか?」
「いや~付け耳かな~とか思っただけだよ~?それって本物?」
蒼は物凄い顔でデッドを睨みながら(おそらく)真面目に言い返していた。
「オマエの耳は取り外しが可能なのか?」
「え~僕の耳はたぶん外れたりしないと思うよ~?試した事ないけどさ~」
(デッドは何言ってるんだ?そう言えば前に人とそうでない者の区別が出来ないと言ってたが…ひょっとして蒼の事をずっと人だと思ってたのか?しかし…この二人も案外いいコンビになるかも知れないよな…(汗))
「おい!人は耳が取り外せる人種でもいるのか?」
「そんなのいないよ…(汗)」(俺にも聞くのかよ…(汗))
「外れないらしいぞ?」
「僕たぶん知ってたよ?」
「知ってたんなら、わざわざ俺様の耳を引っ張るなよ!」
「え~っ…これってそういう話だったっけ~?」
「俺様の耳が外れるかどうかで引っ張ったのはオマエだと思ったが?」
「あ…うん、耳引っ張ってごめんね~?」
サトコさんは、デッドと蒼のやりとりを楽しそうに見ていた。
蒼とデッドの他愛も無くズレた話を聞いていたら、少し離れた場所からバサバサという羽音が聞こえた。
(あのドラゴン本当にデッドの居る所に来るんだな…飛んで来たんだろうか?ここって、さっきいた場所からどのぐらい離れてるんだろうな?)
デッドはドラゴンの所に行き、何故だか耳?を引っ張っていた(汗)
俺はサトコさんの近くに行き周りの景色を見渡していた。
「なんか…ずいぶん殺風景な場所ですね…?」
「まぁそうかな…でも魔物の巣窟のど真ん中に出たりしたら困るから何も無いぐらいの場所が丁度いいのよ?」
「まぁそうかも…少なくとも今日はもう戦闘は遠慮したいかな」
「これからは、この景色のように何もない日もあるかも知れないから今日が懐かしくなる事もあるかも知れないよ?」
俺はチラッと蒼とデッドに目をやり少し笑いながら答えた。
「何も無い日は無いような気がするな…とりあえず誰かがいれば…」
「なるほど…そうかもね…」
そう言いながらサトコさんも二人を見ていた。
「よしっ!次の集合場所はここにしましょう!」
「えっ?今後の話をするのでは?」
「そう思ってたんだけど…ごめん…ちょっと限界みたい…」
そう言いながらサトコさんは俺にもたれかかるように倒れた。
(えっ?何が起こったんだ…?)
「蒼っ!サトコさんが!」
蒼は無言で走り寄ってきた。
デッドも走ってきた。
「サトコどうしちゃったの?」
「本体の眠りが深くなっただけだ、特に心配はいらん」
「そうなんだ…」
「それならいいけど…
ああ、デッド!?サトコさんが次もここに集合って言ってたよ…だから今日は解散かな」
「そうか~みんなも寝るんだよね~じゃあね~おやすみなさい」
「またな!」
デッドは、特に深く考えずに行ってくれたようだ。
「ふぅ…デッドは素直に帰ってくれたな」
俺は自分が疑問に思っている事を聞きたかったので、デッドが同じ疑問を抱かずに帰ってくれた事にホッとしていた。
「蒼…俺には難しい事はわからないが、普通じゃないぐらいはわかる…サトコさんの体はなぜ消えずにここにあるんだ?」
「中身はちゃんと消えてる…そこにあるのは抜け殻みたいなものだ」
「これは消えないものなのか?」
「いや…同調が不完全なために中身だけ抜けて身体が残ってしまうだけだ。
最初の日の話はタツヤも聞いてただろ?」
「えっ?あの時の?じゃあ、いつもって事なのか!?それって問題は無いのか?」
「さぁな?俺様にはそっち側が無いし、人とガイドのハーフ体に関する前例なども無いのでソイツがどんな状態なのかは全くわからん」
「「同調とかって難しいのかな…本体に悪影響とか無いのかな?」
「どうしても気になるなら本人に聞けばいいだろ?」
「そうだな…でも、この身体…俺達が寝た後どうなるんだ?」
「心配しなくても俺様がいつも回収している」
「そうだったんだ…」
俺はなんとなく嬉しくなって蒼を抱きしめてやりたいような気分だったが、それはやめておいた(汗)
自分の知らなかった事を知り、知らなかった部分がわかり、それがわかったときに…ああよかったと思えるのを、なんだかとても嬉しく思えていた。
まだまだ知らない事だらけで、わからない事だらけだけど、それを探すのも悪くないと思えた。
そして俺は今日、自分にもわからなかった自分を1つ知る事が出来た気がする…
俺は…何があっても一人で逃げだすような事は絶対に無いだろうって。

Dream Quest 本編78

「ちょっと待て…」
「蒼、まだ何かあるのか?」
「戻ってきたぞ」
「えっ?何が?」
「そこ」
蒼は腕組したまま前を向いていた。
俺は蒼の視線の方に振り返ってみた。
そこには消えた少女がそのままの場所に再出現していて辺りをキョロキョロと見渡していた。
丁度向こうもコチラが見えた所のようだった。
「あ!」
誰もが目を合わせて小さい声を上げた。
「大丈夫だった?」
「あ、はい、びっくりして飛び起きてしまいましたけど、どうなったんだろうと思うと気になって目が冴えてきてしまって…頑張ってまた寝るほうが大変でした」
そう言って少女は笑った。
「あなたの痛い思いは彼にもちゃんと伝わったと思うわよ?」
そういうサトコさんに俺とデッドも無言でうんうんとうなずいていた。
「そっかぁ…」
そう言うと少女はその場に、へなっと座りこんでしまった。
「あれれ…なんだろ…?」
「安心したから本気で眠くなったのよ…」
そういってサトコさんは優しく笑った。
俺達を押しのけるように少女のガイドが割り込んできて座っている少女に無言で抱きついた。
「ガイドに、この前みたいに眠りたいと告げてあげて」
サトコさんがそう言うと少女はガイドの耳元で何かを囁いていた。
「了解しました、アテナ様」
二人は以前のように静かに消えていった。
(本当に無愛想なガイドだよな…どのガイドもあんな感じなのかな…?
しかし口数が極端に少なくて丁寧で何かあると抱きしめてくる蒼…いかん…やなもの想像しちまった…変な妄想はやめようぜ…俺)
「で、どこに行くんだ?」
蒼がいきなり、さっきの続きを言いだした。(らしい)
周りが少女が無事でよかったという余韻に浸っていそうな時に変な妄想をするのも考えものだが、いつも…いきなり前置きなく結論部分を言う蒼もかなり変わってると今更ながら気がついた。
「え?ああ、どこでもいいわよね?」
「俺は何処でもいいですよ」
「僕も一緒に行けるのかな?」
「うん…?そう言えばデッド君達って、どうやってドラゴン君と会ったり移動したりしているの?」
「えっ?僕がいれば必ず近くにいるし移動は乗ってかな?」
「かな?」
「そんな事深く考えた事無いし~よく考えてみたら何処でもいつも居るし~何処に行くにも猛スピードで移動したなんて事は無いから~ひょっとしたら瞬間移動とかやってたのかな?とか改めて思えてきたって感じ?」
「まぁデッド君だけ移動しても大丈夫そうよね?」
「余り近くだと外でうろついてるモニターと会う可能性もあるから敷地エリア2つ分ぐらい外でいいか?」
「うん、よろしくお願いね。二人ともこっちに来てね」
(何も無い空間にも扉って出せるのかな…ひょっとして3人で蒼に抱きついたりしないといけないとかは無いよな?(汗))
俺とデッドが蒼の方に近寄ってゆき、4人で井戸端会議でもできそうな感じまで集まった時、いきなり地面が青白く光り、その光に包まれたかと思った次の瞬間には目の前の景色が変わっていた。
(い、今のはなんだ?なんか地面に模様みたいなのが出てきて光ってて…あれってよくある?魔法陣とかいうやつか?って…)
「蒼-っ!行くなら行くと一言ぐらい言ってからやれよっ!」
「ソイツが行くから来いと言ってただろう?」
「あ…タツヤ君ワープ移動初めてだったんだね…アレは円錐形の移動ルームを作るものだから出来るだけ異物を取り込まないように迅速にやらなくてはいけないし、時間はほんの一瞬だけど場の維持にかなり集中しないといけなくてね…蒼君はあっさりやってるように見えたかもだけど人数が増えたらそれだけ負担も大きくて物凄く繊細で大変な事してたのよ…
だから蒼君にしゃべれというのは…ちょっと無理かな…」
サトコさんは申し訳なさそうに説明してくれた。

Dream Quest 本編77

お姉さんは少年から手を離し小さく舌打ちしてガイドの所に歩き出した。
バツの悪そうなお兄さんは落ちつきなく色んな所に視線が移っていた。
ガイドと話していたインテリ男は、チラッと俺を見たが直ぐに俺に背を向けてガイドと共にスタスタと歩き出していた。
それを見たお姉さんも同じ方向に歩きだしていた。
「お、おい!何処行くんだよ!」
軽そうなお兄さんは2人を見て慌てていた。
「面白くないから場所変えるんですよ」
少し遠くから声がしていた。
「「おい!ちょっと待てよ!ちっ…」
お兄さんは少年の方を見て何か言いたそうだったが、とりあえず何も言わずに先に行った2人の方へ走って行った。
少年は茫然として座りこんでいた。
「少しは襲われた人の気持ちが分かったんじゃないか?」
俺は低く小さな声で少年に向かってつぶやいていた。
少年は俺の方に走ってきて俺の服を掴んでしゃべりだした。
「あの人どうなったんですか!!?」
「あの人?」
「僕を庇って蹴られて…消えた…」
「ああ…」
俺にも何が起こったのか解らなかったので隣にいる蒼に聞いてみた。
「蒼、あの子どうして消えたんだ?」
「蹴られた衝撃で本体の目が覚めたんだろ」
「そういえば…目が覚めたらなんかヤバいのか?」
「寝てるはずの人間がいきなり目を覚ます程の事があったという事だ…夢と現実、体は別々なので目が覚めたらコチラの体は消えるだけだが、脳や心とかいうものは共通のモノらしいからな?」
「だそうだよ…?」
俺は俺に張り付いている少年にそう言った。
そうしているうちにサトコさんとデッドが俺のすぐ後ろまで来ていた。
「部外者の口出しや横やりは話をややこしくさせる可能性があったので少し離れて様子を見させてもらったわ…」
俺は無言でうなずいた。
「あの子…大丈夫なのかな?」
「大丈夫なら目を覚ます事もない!ならば大丈夫じゃないとなるけど、どのぐらい大丈夫じゃないのかは本人にしかわからないわね…あービックリした!あー怖かった!程度ならいいんだけどね…」
サトコさんはそう言うと俺に張り付いている少年に目を向けて続けた。
「大丈夫よって言ってあげたいけど、適当な気休めは言えないのよ?…わかりもしないのに適当な事言ったら彼女に失礼でしょ?…あなたには無事を祈れというぐらいしか言えないわね…」
少年は俺から1歩ほど離れて今にも泣き出しそうに震えていた。
「私には、あなた達のシステムがどんなものかわからないけれど、ここから自力で戻れるのなら今日はもう休んだ方がいいんじゃない?」
サトコさんはかなり淡々とした口調で少年に言った。
少年は黙ってうなずいて服の袖をめくり腕に取り付けられている何かの装置のようなもののボタンを押していた。
淡いグリーンの光が少年を包んだと思ったら少年は消えていった。
(なんだかいっぺんに色んな事があったけど、これで心置きなく外へ行けるって気もするな…?)
「なんか色々ありましたね…」
「そうね…でも結果としては悪くないような気がするわ」
「うん…あいつ少しは反省したのかなぁ…」
「う~ん…やっぱり何か違和感があるんだよね~?」
デッドが俺達より少し離れた所で腕を組んで首を傾げている。
「何が違和感なの?」
サトコさんがニッコリ笑って問い返した。
「どうしてタツヤはサトコに対してだけ敬語みたいなしゃべり方をするんだろうね?」
それを聞いたサトコさんの笑顔がひきつっていた…
(うげっ…まだそんな事考えてたのかよ…(汗))
「それは…最初にそういうしゃべり方してしまって、その後で普通にしゃべるタイミングがなくて…もっと時間が経つにつれて急に変えたら余計おかしいだろうと思えてだな…そのままズルズルと今に至るんだよっ!」
「あ~なるほど…じゃあ今から普通にしゃべります宣言しちゃえばいいんじゃない?」
「なんでわざわざ宣言してやらなきゃならないんだよっ!その方がよっぽど違和感だろうが!」
「私は宣言とかじゃなくても普通に喋ってくれて構わないというか…普通にしゃべってくれたほうが嬉しいけどね?」
そう言ってサトコさんは微妙に怖い微笑みをくれた。
(そうですよね…俺が合わさないと、また怪しまれますよね…(怖))
「まぁ…努力してみます…あ、努力するよ!?」
「期待してるわ(笑)で、前の話しの続きだけど次何処行こうか?」
「俺はもう、この領地から早く出たいかも…領地内にいると、なんか色々疲れます(汗)」
「そうだね~どっかの会社の人とか、さっきみたいな人達が自分の事を見てるかも知れないとか、いつ誰に絡まれるかとか思ったら落ちつかないよね~」
「うん…さっきの連中も被害者では無くて、単に何処かからあの子のやってた事を見てただけの連中みたいだったし…」
「そう言われたら何か落ちつかないわね…とりあえず場所を変えた方がいいかもね?蒼君、お願いできるかしら?」

Dream Quest 本編75

しばらく進むと言い争うような声が聞こえてきた。
「こんな事はやめてください!それにあなた達は無関係じゃないですか!」
座りこんでいる少年を庇うように少女は両手を広げて目の前にいる3人の男女に向かって必死に訴えていた。
このモニター達の年齢は俺より少し上ぐらいなのだろうか…
何となくキツそうなOL風のお姉さんと、頭だけ良さそうなインテリ男、チャラチャラして軽率そうなお兄さんの3人だ…ガイドは彼らの少し後方にバラバラに立っていて見た限りでは、どれが誰のガイドなのかはわからない。
「無関係?違うわ…明日は我が身だったのよ?
それにコイツは、ちょっとお仕置きしないと駄目な子供なのよ?」
「人を襲うなんて事は駄目です、通報しますよ!」
「この子何言ってるんだ?これは襲ってるんじゃなく躾だよ?それに人と人の問題は自己責任だから会社だの規約だのは関係ないんだよ?そもそも話し合いで解決できるのなら何人も襲われたりもしてないだろうし相手は善悪の区別もできない子供だ…この子に必要なのは説教では無くお仕置きだよ?そんな事もわからないのかい?」
何となく頭が良さそうなインテリ男が色々と理屈をこねているようだ。
「あれ、君さ…前に襲われてた子じゃないの?あ~きっと忘れてるんだろうけどね…可哀そうにねぇ…自分を襲った奴を庇ってるなんて(笑)誰かこの可哀そうな子に自分がどれほどの馬鹿かって事を教えてやってくれよぉ?」
「え~この子も被害者なのぉ?それ忘れて襲った奴庇うとか、それマヌケすぎるわ(あはは)」
「私、忘れてなどいません!」
「え~っ?覚えてるのに庇ってるの?どんだけ正義のヒーローなのよ?…ウザッ」
「いやぁそれ言うならヒーローじゃなくてヒロインだろ~?この子のガイドってお姫様?いかにも世間知らず2名様って感じだし?王子様でも助けに来たのかい?(ぷぷ)」
軽そうなお兄さんとキツそうなお姉さんが聞くに堪えないような話をしていた。
「なに?お姫様ゴッコなわけ~?そゆうの他所でやってほしいわ…とにかくそこをどいてくれない?」
何となくキツそうなお姉さんが、そう言いながら少女の体を手で押しのけて少年の前に行った。
少女のガイドは少女の体に抱きつくように支えながら、お姉さんの方を睨んでいた。
「関係ないのは君の方でしょ?それとも本当に彼は君の王子様とか?」
軽そうなお兄さんが少女を上から見下ろすように少女に言った。
少女もガイドに抱きつくように歩み寄ってきたおにいさんを睨んでいた。
俺は、とにかくその場に掛け寄った。
「あなた達は何をしてるんです?」
俺は何食わぬ顔で通りすがりのように普通に話かけた。
サトコさんとデッドは俺からからり離れた後方で立ち止まっていた。
「おや?君見ない顔だね?新人さん?最近起こってたガイド襲撃事件は知ってるかい?」
少女に絡んでいた軽そうなお兄さんが俺の方に歩み寄って聞いてきた。
「一応知ってますよ?」
「いやね…そこのメガネの子供いるでしょ?その子がその一連の事件の犯人なのさ、だから、ちょっとばかりお説教とお仕置きをね!」
俺は地面に座り込んでいる少年の方を見た。
(服や頭に土が付いている…少しは痛めつけられたんだろうかな…)
その時、少年の近くに行っていた女性が汚い言葉で少年を罵りながら少年を蹴ろうとした。
「何も出来ないガキのくせに親の金でいい気になってんじゃないわよ!」
ドガッ!
ソレは少年に覆いかぶさるように割り込んできた少女の後頭部を直撃した。
そのまま倒れ込むような姿で少女は消えてしまった。
それを見た少女のガイドも消えてしまった。
(何が起こったんだ?)
その時、その場にいた男女3人がそれぞれに騒ぎ出した。
「おい!何やってんだよ!」
俺と話してたお兄さんが、お姉さんの方を向いて怒鳴った。
「知らないわよ!いきなり飛びこんできたんだもの!」
怒鳴られたお姉さんもヒステリックに言い返している。
「一体何したんですか…?僕は関係ないですからね!?」
そう言うとインテリ男は自分のガイドらしき人物の所に歩いて行った。
「なによっ!私のせいだって言うの!?」
お姉さんはインテリ男に向かって叫んでいる。
「おい!何処行く気だよ!いい獲物がいるって言ったのおまえじゃねーかよ!」
軽そうなお兄さんは歩き出したインテリ男に怒鳴った。
「あん?どうなったのかガイドに聞いてみるだけですよ?」
インテリ男はガイドと話を始めた。
「だいたい元はと言えば全部コイツのせいじゃないのよ!」
そう言うと、お姉さんは少年の髪の毛を掴んで引っ張った。
「いい加減にしたらどうですか!?」
俺は、いい加減コイツらの会話にイラついていた。

Dream Quest 本編74

「あのっ、皆さん戦闘にも長けていらっしゃるし…なんか色々と詳しくご存じですよね…あの、私も皆さんと一緒に連れていってくれませんか!?」
「えっ、どこに?」
「どこって…皆さんの行くところに…」
「私達は、ここのパトロール隊でもなければ正義の味方でもないから、あの子がまた戻ってきて同じ事を繰り返したとしても、いちいち気にしてられないし…多少気にはなっても戦闘の無意味さは今日で痛いほど学んだので二度と戦わないんじゃないかしら?」
「それなら次は私が一人で戦います!」
「それは無理よ…アテナさん?あなた、あの子に襲われた復讐でもしたいの?」
「そんなんじゃないんです!まだ続ける気なら止めたいし出来れば改心してほしくて…」
「戦いで負かす!というだけではあの子は変えられない!それはもうわかったでしょ?
まぁ何万か何十万か知らないけど相当高価なおもちゃを壊してしまったんだから現実で親に叱られた揚句に新しいおもちゃも買って貰えず、あっさり改心?解決?するかもよ?」
「でも彼の事は関係なしにしても私強くなりたいんです…」
「1~2週間猛特訓したところで、あのポンコツに傷1つ付けられないわよ?」
「そんな…みなさんは、ちゃんと勝てたじゃないですかっ」
「戦闘の数値だけを考えたら到底勝てない相手だったし、もし次なんてものがあるとしたら彼は今日以上の強化を当然してくるでしょう?
ガイドも体験から学んで独自に進化するようにはなっているけれど、どんなに戦いばかりをさせた所で戦闘に特化したりはしないのよ?全ての価値が戦いの勝ち負けだけで決まるわけではないのだからね?
“戦い”や“勝つこと”だけに拘り過ぎたら、さっきの彼と同じになるだけよ?」
「別に戦いに拘ってるわけじゃ…」
「それに、これは私の個人的な私用でしかない事だけど、それなりに急いでもいるのよ?
全く別々の目的があって、なお且つ個人的な事情を優先させたい者同士が一緒に行動してたら、お互い周り道が多くなってその結果、目的に辿り着く事が出来なくなる事にもなり得るわ…私達が使える時間には限りがあるからね…」
「…。」
少女は下を向いて今にも泣きだしそうだった。
「ねぇ?なんか様子が変だよ?」
その時、俺達とは少し離れた場所でドラゴンと一緒にいたデッドが何かを聞いたようだった。
「どうした?」
俺はデッドに聞き返した。
サトコさん達は黙ってデッドの方を見た。
「さっきの…ダーク狂いサイダー君?なんかこの先で揉めてるみたいだね」
デッドは気のない言い方でサラっと答えた。
「また揉めてるのか…本当に懲りない奴だな(汗)」
俺は深く考えず何気なく思った事を言った。
「立場は逆転してるようだがな?」
「えっ?蒼?蒼にも聞こえてるの?」
「わりと近くだからな?」
「逆転してるって…?」
サトコさんが蒼に尋ねた。
「ガーディアンが今は不在だからじゃねーか?」
「モニターが人を襲ってるって事?」
「相手は外部の者だしな?」
「あの子も、これでちょっとは反省するかもね~?」
「どうなんだろうな」
俺とデッドは彼の事など全く気にかけない感じで話していた。
実際デッドの事はわからないが、少なくとも俺はあのガキが誰かからやり返される事やロボが居無くなった今だからこそ仕返しされたとしても不思議は無いと思っていたし制裁を受けるのが当然とまでは思ってないが、ある意味よくある事だぐらいにしか思っていなかったからだ。
「みなさん…おかしいです!何でそんな事ばかり言うんですか!」
傍で聞いていた少女がこっちを見ながら酷く怒り叫ぶように言った。
そして次の一瞬、独り言のように小さく呟くと、いきなり走り出した。
「行って止めないと…」
(えっ?いきなり何だ?)
俺とデッドは、いきなり怒られて?声も出ずに唖然とした感じで少女が走って行く姿を見ていた。
(俺なんか酷い事言ってたっけ?(汗))
「私達もいきましょう…」
サトコさんが少し情けなさそうな顔で言った。
「えっ?行くんですか?この辺りの場所の揉め事にはあまり関わらない方が…?」
「それはそうなんだだけど…彼の護衛?をぶっ壊しちゃったのは紛れも無く私達なので多少責任はあるかな~とね」
「あれは護衛というよりは危険な兵器だったと思うし…あれを壊されたのも、その後で一人の所を襲われるのも、自業自得?身から出た錆び?だと思うんですけどね?」
「まぁ…私もあの子に同情する気は無いけど、あの子との関わりで何が正義で何が悪だとか、そういうの全部抜きにして、要は今更知らん顔も出来ない程に関わってしまったかなと思えてね」
「関わってしまった…か」
俺は正直気分的にくたびれてたし、あの少年を助けに行く気には到底ならなかったが、彼のガーディアンとやらが健在ならば結果は違ったものになってたのは間違いないだろう。
何か悪い事をしたという責任を感じる必要があるのかどうかはわからないが、責任は俺達にもあるようには思えた。
「もう一人…行っちゃったしね~」
(あの少女か…(汗))
デッドは口調は軽いものの顔はニコリともしていなかった。
「とりあえず行ってみよう」
結局俺達は少女の後を追うように、その場所へと急いだ。

Dream Quest 本編73

「何が悪いんだ!この世は弱肉強食なんだぞ!強い者が弱い者を制するのは当たりだし、
それに僕は弱い者いじめなんてしてないなからなっ!だって僕が相手をしてやったのは、僕より大きい奴、僕より年上の奴ばかりじゃないか!弱い者いじめとかってのは、
オマエらの方じゃないかっ!」
「確かに君は弱いものいじめをしたわけではないのかも知れないけど、君のやってた事は無差別な暴行魔と変わらないのよ?」
「何言ってるんだよ!?これは試合だよ?ゲームだよ?そのためにみんな、ここに来てるんじゃないか!?」
「試合?ゲーム?ここにいる人間が全部、君みたいな戦闘オタクだなんて思わない事ね?」
「だから~弱肉強食が世の常でしょう~?生きて行くのにオタクも何も関係ないよ?それに何のエリートを目指そうが僕の自由でしょ?僕がここで最強のバトルマスターを目指して何が悪いのさ?」
「ここは君が力で支配する世界だとでもいうの?弱肉強食?
私は、君を現実のサバンナの真ん中辺りに放り投げてやりたい気分だわ…」
サトコさんは溜息をつきながら呆れていた。
「なんか無駄な争いになっただけだったようですね。すいません…」
「別にタツヤ君が気にする事じゃないわ。
ここまで説教する気も萎えるほどどうしようもない子供も珍しいだろうけどね」
「悪党ってさ、子供の頃から悪党でさ~きっと、そのまんまで大きくなっちゃうんだろうね~」
デッドは、いつものように軽口叩いてるように思えたが彼が少年を見る目つきを見て俺は一瞬ゾクっとした。
俺だって本人をぶん殴ってやりたい程の怒りの気持ちはあるのだから、こんな思春期の青年?が感情的に怒り狂ったとしても何の不思議も無い事だった。
(でも、本当に俺と同じような気持ちで怒ってるんだろうか…?)
そうこうしてるうちに少年は立ち上がって、その後も嫌な捨て台詞を残して退散していった。
「オマエら、絶対忘れないからなっ!ソフィアが復活したら、こんどこそ正義の裁きを下してやる!僕の名は、ダーククルセイダー4世だ!絶対に覚えてえておけよっ!!」
「なんだありゃ…(汗)」
(すげー名前だな…さすが少年だ(汗))
「まぁ理由はどうであれ、それなりの歳の人間が大勢で一人の子供を相手にしたのは事実だから、あんまり偉そうに言えないし、言っても説得力がないのも事実だから仕方ないわね(笑)」
「なんか…何が正しいとか分らなくなりますね…」
そう言いながらハードな戦闘を物語る程にボロボロになってるサトコさんを見たら俺は大変な事を思い出していた。
「あっ!サトコさんも蒼も怪我は大丈夫なんですか!?」
俺は改めて二人の姿を確認するかのように二人を見ながら言った。
「ん?まぁ相応のダメージは受けるけど苦痛が続くわけではないし直るのも早いのよ?
特に本体が現実にある私達のコチラの体は起きたらリセットされるようなものだし…蒼君はコッチが本体みたいなものだから修復…治癒にはそれなりに時間を要するでしょうけど…」
「蒼、腕は大丈夫か?」
「自己修復可能だが?」
「その…痛みとかはないのか?」
「痛み?こっちの腕だけだと可動率65%修復率40%使用限界範囲81%パワ―効率72%使用可能能力オールクリアという所だが痛みとはどれに該当するんだ?」
「なんか大丈夫そうだね…(汗)あ、そういえば使用可能能力って…蒼は魔法も使えるのか?」
「魔法?」
「さっきロボに向かって電撃みたいなの出してたじゃないか」
「電気ぐらい誰でも出せるものだろう?」
「出せないよ…(汗)」
「そうなのか?」
不思議そうな顔をした蒼が珍しくサトコさんに尋ねていた。
「えっとね…人は体内で電気を製造して色々使ってるわけなんだけど…自分の意思でやってるわけじゃないから人はソレを道具のように扱う事が出来ないのよ…蒼君などは、それらの原理と機能を応用して意思や思考で扱えるようにしてあるというわけなの」
「元が人の持つ機能なのに、人には扱えないとはな(苦笑)」
「使えないとも限らないのよ?現実世界では、おとぎ話のように魔法が使えた例は無さそうだけど電気体質が強くて周りに影響を与えるほどの人や発火体質などの人は実在したらしいし、それらを作れるメカニズムはある程度持っているのだから、普通の人でも武器を出すように魔法だって使えるはずなのよね」
「魔法が使えるんですか?」
「おそらく…使えるんだと思うわ…」
サトコさんは何故か怖い顔をして何かを思いだすようにそう言った。
その時、思いつめたような顔をした少女が俺達の会話に割って入ってきた。

Dream Quest 本編72

「あれ~また、君か~?君ってさ、Sっぽいけど実はドMなんじゃないですか?
また、いたぶられに戻ってきちゃうんだものね?
で、今度は2人がかりで僕一人を相手にするのかい?」
「私達の相手は、あんたじゃないわ!いい加減その口を黙らせてあげるわ」
そう言った瞬間、サトコさんと蒼はロボの左右に走った。
「なんだよそれ!ソフィアは僕のしもべだぞ!?僕と一心同体なんだよっ!
おっや~挟み打ちですか?でも僕の敵では無いですけどね!」
ロボは、その場で回し蹴りをするように片足を上げて回転した。
その瞬間、二人は弾き飛ばされてしまった。
(全然足には当たって無いはずだし、さっきはあの距離なら余裕だったはず…)
「あれ~クリーンヒットしちゃってるよ~?君達、大丈夫か~い?」
「チッ、仕方ねぇな…」
蒼は、ゆっくり歩きながらロボの真正面に立った。
ロボは蒼に向かって数歩走り身体を半回転させながら鋭い爪のついた手を大きく振った。
はっきりとは姿が見え無いほど早いその動きに蒼は半身を横に移動させたもののロボの手を完全には避けきれなかった。
ロボの手は見事に蒼の肩に突き刺さった。
(蒼は今の…避けられなかったのか?)
「君遅いよ~遅過ぎだよ~君それじゃあ、もう刀使えないんじゃない?
まぁ…どうせ君の刀では僕のソフィアに傷1つ付けられないだろうから使えても意味ないだろうけどね?(笑)」
「捕まえたぜ…」
蒼が自分の肩に突き刺さったロボの手を逆の手で掴んだ瞬間バリバリという音と共に辺りは真っ白になった。
(今のは…電気?放電?魔法…?)
ロボは全身の至るところからパチパチと音を立てて青白い雷光を出している。
「ちょっと君っ!なんてことするのさっ!ソフィア!?早く動けよ!このボケ!!」
(ロボは止まってるのか?)
次の瞬間、蒼は刀の柄の方でロボの頭を至近距離で思いっきり突いた。
ガコーンと大きな音がしたがヘルメットは健在だった。
蒼はすぐさま飛び上がり両手で柄の部分を立てて、落ちて来る力を加えて柄で頭を直撃した。
今度は重くて鈍い音がしたがヘルメットはまだ残ってる…
(ヘルメットが歪んでグラグラしてる?)
雷光が僅かに残る中、ロボはブーンと大きく両手を振った。
(くそっ!もう動けるのかっ!?でも動きはかなり鈍いっ!?)
蒼はロボの手に着地するように手の上に乗り、手を蹴って肩を押さえながら後方に飛んだ。
蒼と交代するようにロボの背後からサトコさんが走り寄りロボの頭めがけて思いっきり何かを振りあげた。
カコーン!!
なんか聞き覚えのあるような金属音と共にロボの頭のヘルメットが遠くへ飛んだ。
(え…?き、金属バットぉ!?)
「今よ!」
「どけ!」
蒼とサトコさんの声が響いた。
サトコさんは後ろに飛んで頭を押さえて小さくかがみこんだ。
蒼は片方の腕を押さえたまま半分屈んだような姿勢で、いつもドアを出す時のように手を前に出していた。
次の瞬間ロボの頭の真っ直ぐ上から細い1本の雷光がロボの頭めがけて落ちてきた。
ロボの頭部がうっすら半透明になったかと思ったら、奥に見えた丸い玉のようなものが、パーンと音をたてて破裂した。
丸い玉と共に頭が吹き飛んだロボは、ガタンと両ひざをついてからドサッと前向きに倒れた。
「ソフィアァァァ!!?」
走り寄る少年は、まだうっすらと見えているのに触る事も出来なくなったソレを必死に触ろうとしていた。
「何でだ、嘘だよ!?僕は最強なのにっ!起きろよソフィア!起きて戦えよっ!」
それは静かに消えていった。
「お、オマエらなんか、ただの集団いじめじゃないかっ!何だよっ、寄ってたかって罪の無い子供をいじめてさ!最低最悪の極悪軍団じゃないかっ!ソフィアを弁償しろよ!僕のお父さんは会社の課長なんだからな!オマエらの事なんか調べて請求書おくってやる!」
サトコさんは厳しい顔で少年に言った。
「君は自分が悪い事をしたと言う自覚はないの?」

Dream Quest 本編71

俺が走り出して直ぐに近くの草がガサガサと揺れた。
(な、なにかいる?)
「あのっ、どちらにいかれるのですか?」
(なんだ…この子かよ…ホッ)
飛び出してきたのは、さっきの少女だった。
「えっと、アロマ~な花か草を至急探して来いって」
「私も一緒に行っていいですか?」
「ああ、助かるよ」
(この子、気になって近くまで戻ってきてたんだろうな…)
俺達は、とりあえず緑色した草や花らしいものがついてるものを適当に抜きまくっていた。
はっきり言って、この世界で香りなんてものを感じられるには高度な技術が必要らしい…
「ハーブとかってわかる?」
「う~ん、このあたりには無いみたいな…あっ、これ!一応ハーブですよ」
「それってヨモギとかいうやつでは?」
「はい、でもこれも一応ハーブなんですよ?食べられますしね」
「いい香りっていうより、なんか青汁臭そうだね(苦笑)」
「えっ?でもたつやさん?が今持ってるドクダミの方が臭いと思いますけど?(汗)」
「えーっ、そうなの??」
俺は手の中の可愛い花をパッパっと捨てて手の匂いを嗅いでみた。
(う~ん、やっぱり匂いはわからん…)
俺達はさっきの戦闘を知らないかのように、のんびり花摘みピクニック状態だった。
(今頃デッドがロボと戦ってるんだろうか?…俺が戻る頃には、すっかり終わってるかも…それって…どんな風に終わってるんだよ…?)
俺は背筋がゾクっとした。
「もう、戻ろう!」
俺は立ちあがって走り出していた。
(やっぱり、のんびり花なんか摘んでられない!)
俺達は周りの様子を見ながら、なんとか蒼とサトコさんのいる所まで到着した。
「蒼、これぐらいでいい?」
「それ適当に揉んでコイツの顔の周りに…」
「うん…向こうはどんな感じ?」
「あのクズが、さっきガーディアンに回復剤と進化剤のようなものを投与しやがった。
そしたらロボは、ほぼ完全復活したようだ。
おまけに羽まで生えて空まで飛びやがった…まぁ空中戦だと鉄の塊よりドラゴンが有利だから、ドラゴンが炎で片方の羽を燃やしたので、アレは今さっき下に落ちた所だが、あのボディ自体は燃えないらしいし、ドラゴンは地上戦は出来ないだろう…
それにあのドラゴンは組成がまだ不安定だからあの爪をマトモに喰らうと、ここらの生き物同様、一瞬で消し飛んじまうはずだ…飼い主は、その事を知ってやがるのか?」
「えっ?」
「デッド君は何も知らないと思うわ…」
そう言いながらサトコさんが置き上がった。
「サトコさん!大丈夫ですか?」
「うん、ありがとう何とか落ちついたみたいね」
「あの、大丈夫ですか?」
「あら、あなたは?…逃げなかったの?」
「私も戦います!」
「そう?でもね…気持ちだけ頂いておくわ」
そう言うとサトコさんはニッコリ笑って立ちあがった。
「蒼君、アレのコアは頭だと思うの、あの頭部の保護どうにかして外せないかしら?」
「コアをやる気か?」
「最初からそのつもりだったわ」
「だろうな…」
「これでもクズ本人を狙わないだけ、まだ慈悲のカケラ程度は残してあるつもりよ」
「それは慈悲なのか?」
「改めて聞かれたらちょっと自信無いけどね」
「トドメは俺様がしてやる」
俺が二人の会話に割って入れるような雰囲気ではなかった。
「タツヤ、周りを見たら分かると思うが…俺様が行ってあのポンコツをぶち壊すしか手は無いと思うんだが?」
蒼の言う通りサトコさんもドラゴンもアレと戦う事はできてもアレを倒すのは難しいだろうし今残ったものの中で一番強くて無傷で最も可能性があるのは蒼だと思うが、果たして蒼が行って勝てるのかもわからないのだ。
(俺に何て返事をしろというんだ?蒼に行って戦えと?蒼の望み…?違う…俺はどうしたい…?)
「俺は…蒼を信じてるから…蒼の思うようにやって欲しい!」
蒼は俺の肩に手をやってニッと横顔で笑ってから、その後すっと前に出た。
「お許しが出たぞ、行くか?」
サトコさんと蒼は二人で走ってロボの所に行った。
「デッド君、来てくれて本当に助かったわ。でも危ないから、もう後ろに下がっていてね」
「え~サトコ大丈夫なの?僕にできる事っ…」
「大丈夫よ」
サトコさんはニコリともしなかった。
デッドは心配そうな顔をしながら黙って後ろに下がった。

Dream Quest 本編70

「おや?やっとお仲間の助っ人登場ですかぁ?
多勢に無勢…僕はそれでも全然構わないですけどね?
多ければ多いほど、倒した時の達成感も大きいでしょうからね(ふっふっふっ)」
相変わらずメガネを触りながら嫌味な事をズケズケと言うガキである。
「駄目よ、蒼君!」
次の一瞬、蒼はクルリと振り返りこっちに向かってきた。
「蒼、どうした…?」
「駄目と言われたが?」
「なんで、そこだけ馬鹿みたいに素直なんだよっ!?」
そう言いながらも俺は蒼が戻ってきた事にホッとしたのも事実だ。
(俺が行けと言えば蒼は必ず行く…でも俺は、行ってどうしてこい!と具体的になんて言えばいいのかわからない…)
俺は両手を握りしめ下を向いていた。
(くそっ、どうすりゃいいんだ)
ドサッ
とっさに音がした方を見たらサトコさんが尻もちをついたような格好で腹を押さえていた。
(あの手にやられたのか…?)
俺はきっと真っ青になっていただろうと思う。
ロボ野郎がサトコさんめがけて飛び上がったのが見えた瞬間、頭の中が真っ白になって俺は走りだそうとしてた。
それより早く蒼は走り出していて走りながら叫んだ。
「タツヤー!動くな!!」
次の一瞬、俺の目の前に黒っぽい風が通り抜けたかと思ったら、辺り一面が赤一色になった。
(な、にが起こったんだ…?)
俺は走りだしそうなポーズで止まったまま呆然としていた。
霧が晴れるように赤い色が消えた時、焼けるように赤い色をしたロボ野郎と、空を見上げて口を開けて何かを指さし腰を抜かしている馬鹿クズ野郎と、ロボからかなり離れた所でサトコさんを抱えてしゃがみこみ、上を見ながら怒鳴っている蒼が見えていた。
(助かったったのか?)
腰を抜かしていたガキは、すくっと立ち上がって空のソレに向かって大声でわめいていた。
「おまえら、まだ仲間がいたのか…くそっ!だいたい多勢に無勢だけでも卑怯なのに、ドラゴンなんていたとは卑怯に反則のオマケつきですね!」
「え~そんなこと言ったらゴレ○ジャーとかウ○トラマン兄弟とか団体ヒーローは、みんな失業しちゃうよ~?
今ならゲームとか複数パーティの主人公達が、たった1人のラスボスをボコボコにしちゃうとかも普通だしさ~?
だいたい君さぁ~?さっき大勢で掛ってこいとか偉そ~うに言って無かったっけ~?
それにさ~なんでドラゴンが反則なんだよ~?
ドラゴンが羨ましいなら、そんな幼女メカじゃなくてキングギ○ラとか作っちゃえばよかったじゃないの~?」
「う、羨ましいなんて誰も言ってませんよ?僕のソフィアの方が遥かに優れてますからね!」
「優れてるのに僕達には届かないんだよね?
それで優れてるって自分で言っちゃうと、なんかすごくカッコ悪いとおもうけどな~?」
「うるさいよオマエ!いちいち癇に障るやつだなっ!」
(あ~そのホノボノとした軽さはデッド…今はなんかすごく癒されるよ…)
デッド達はかなり高い所から見下ろすように話をしているので、ロボはデッド達に届かないようだ。
俺はデッドがしゃべってくれてる間に蒼とサトコさんの所に走って行った。
「蒼、サトコさんは?」
「まだ、かろうじて生きてるよ~」
そう答えたのはサトコさん本人だった。
「アレに斬られたの…?って傷も無いし血もでてないですね…?」
「まぁ…ここの体は現実と違って“肉体”ではないからね…とりあえず中途半端で目が覚め無くてよかったけど…今頃本体は寝汗をかいて相当うなされてるだろうから、もうすぐ目が覚めちゃうかも知れないな…」
「目が覚めると何かヤバイんですか?」
「応急処置をする」
「それはタツヤ君のためのものでしょ」
「タツヤはピンピンしてる」
(目が覚めるとどうなるんだ?応急処置ってなに?)
俺は情けなくも膝がガクガクしていた。
「俺に…何か出来る事は…?」
「花でも摘んで来い!」
(いくら俺が、こんな時に無能だからって花を摘みに行けとか…酷くないか?それにサトコさんはまだ生きてるのに花を添えるとか普通言うか!?)
「一応言っておくが…見た目なんかどうでもいいんだからな?無ければ草でもいい」
(ムッ、なんだよさっきから!何でこんな時に俺は草むしりに行かなきゃならないんだよ!?)
「蒼、何で…」
俺がそう言いかけた時、蒼は噛みつきそうな顔で俺を見て低い声でボソボソと脅すように言った。
「タツヤが、そのポケットにアロマオイルの小瓶とやらを持ってると言うのなら今すぐ出せ!と言った方が早かったか?」
ア、 アロマね…ハイ!持ってません…いってきます(汗)」
(だっ、だったら…いい香りの花だとか、匂いのする草だとか、ハーブとか言ってくれりゃいいだろうが!でもそれ言われて俺すぐに理解したかな?…(汗))

Dream Quest 本編69

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「蒼…サトコさん一人で戦ってる…さっきの会話…どういう意味?」
「ノーマルってのは一般的なガイドの基本値。俺様は、あいつのガイドの情報と幾らかの経験データーと情報データーを引き継ぐ形の強化を受けたのでステータス値としては普通のガイドの平均プラス100ぐらい高くなってる」
「そんなに?それでもアイツよりは攻撃もスピードも劣ってるんだね…サトコさんは蒼より強いの?」
「アイツは半分ぐらいは人のままだし、俺らは人から覗かれないようにフィルターが掛ってるから俺にも全くわからん」
「えええっ!分からないのに行かせたのかよ!?」
「アイツは勝算があるから行ったんだと思ったが?」
「最初から勝算なんてあったんなら、わざわざ蒼に敵の情報を聞いたりしないだろう?」
「じゃあ加勢にいくのか?」
「どうしたらいいんだろう?」
俺達は戦闘観戦をしながら世間話をしている観客のようだったが、簡単に飛びこんで行けばいいというわけにもいかないのは目の前の戦闘が物語っていた。
(下手に割り込んで行くと足を引っ張るだけかもしれない…)
サトコさんは両手に短剣を持ち、低く身構えて敵が突っ込んできた所で敵の肩を蹴って飛びあがり、そのまま敵に向かって落下して両肩の金属の継ぎ目のような所に短剣を差し込み力いっぱい両手を広げた。
敵の肩部分は左右に飛んでゆき肩に繋がってた胸の金属の鎧みたいな部分がガタンと下に落ちた。
「あんたの可愛い彼女をすっぽんぽんにしてあげようか?」
「おまえっ!僕のソフィアを汚したな!オマエの罪は太平洋より深いぞっ!」
サトコさんは落ちたロボットの胸の部分の金属パーツのようなものを短剣で、ひょいっと持ちあげて、それをブラブラさせて
「あんたの彼女を、そこに沈めてやったら私の罪より深く沈んじゃいそうだけどね?」
そう言って部品をロボに向かって放り投げた。
サトコさんは、らしくない言葉と行動を続けた。
(サトコさんって、ハンドル握ると性格変わるタイプとか?(汗))
「煩いっ黙れ!」
「あら、しゃべり方に余裕の馬鹿っぽさが消えたわよ?」
ロボは怒り狂ったかのように両手をバタバタさせて攻撃を繰り返している。
(どこかの…なんとか百烈拳とやらをみてるようだ…(汗))
しかし攻撃が単調なので距離があれば単なるよし○とのギャクにもなってしまうのはちょっと滑稽だった。
サトコさんは思いっきり体勢を低くして、そしてロボの腕の下側に入り込みロボの腰の部分の隙間に短剣を刺し綺麗なVの字に腕を広げて直ぐに後ろに飛んだ。
金属を繋げていた小さいのネジのようなものがVの字に飛んだ後でロボの金属の腰巻のような部分がガタンと落ちた。
「あら、レディが人前で服を脱ぐもんじゃないわ?はしたなくてよ?」
「くそっ、オマエの服も剥いでやるっ!」
「あら、私を脱がそうなんて100年早いわよ!?」
サトコさんは掴もうとしてきたロボの肩に肩手を置いて鞍馬のようにひらりと飛び上がり片方の手でヘルメットのようなものの継ぎ目に短剣を刺し、その手を横に広げてそのまま鞍馬のように後方に着地した。
甲高い金属がこすれる音がしただけで、ヘルメットはびくともしなかった。
(ああ、惜しいっ…)
俺は手に汗握る観客と化していた。
ロボは攻撃するというよりサトコさんを掴もうと必死のような感じだ。
(そんなに脱がせたいのか?(汗)いや、あの女ロボットが服が脱げたとか見えたとか…同じ事を仕返しするとか…そういう人間じみた事を気にしたり考えたりするんだろうか?サトコさん、あのガキをわざと挑発してるのか?
あのロボひょっとして…あのガキが動かしてるのか?)
「君、結構素早いんだね…でもね、これならどうだぁ!」
ガキの叫ぶ声と共に金属の連結部がはめ込まれる時のような音がした。
ジャキーン!
サトコさんは直ぐに後ろに飛んだが腹の部分の布が切れて風に舞っていた。
ロボは両手から鋭く長い爪を出して振り回しはじめたのだ。
(うわぁ~なんか何でもアリなアニメ実写版ロボ変化した…)
「蒼、やばいよ!あれじゃあもう簡単に近づけない!
1度でも当たったら…ねぇ、あのロボ動かしてるのアイツじゃないのか?
だったらアイツの方を…」
俺は蒼の着物の袖を握りしめて訴えた。
「タツヤはあのクズと同じでいいんだな?タツヤはそこを動くなよ」
俺は一瞬、蒼が何を言ってるかわからなかったが直ぐに理解した。
(あ…あ…アイツさっき人を襲おうとして…
俺、今何を言ったんだ…?蒼に…人を襲えって…?)
「あ…蒼…」
蒼は手に刀を出してサトコさんの居る方へ歩き出した。

Dream Quest 本編68

目の前では少女のようなロボットがシークレットサービスのような風貌の女性ガイドと戦っていた。
戦っていると言うよりは一方的に襲われているという感じだが、ガイドは既に結構ダメージを受けているようで、かなりヨロヨロとしているが何とかモニターを庇うように前に出て戦うような姿勢をしている。
「君は自分のしてる事がわかってるのかっ!?」
「その言葉は、そっくり君にお返ししますよ?こ~んな可憐な少女にボコボコにされちゃって…随分粗悪な護衛さんですよね?ひょっとしてソレ不良品なんじゃないですか?」
「何言ってる…君のロボットこそ壊れた怪物そのものじゃないか…」
「君…今僕のソフィアちゃんを物凄~く侮辱したね?ソフィア!アイツ弱っちくて面白くないかもしれないけど、あの口がこれ以上しゃべるのは、すごくウザいから…黙らせてよ!」
(あのやろう…人間まで襲う気かっ?)
俺が飛び出そうとした瞬間、目の前に人影が現れた。
「ちょっと君!何か勘違いしてない?」
両手を腰に当てて仁王立ちしているその姿は何処から見ても紛れも無くサトコさんだった。
(サトコさん…一人で何する気だ?(汗))
「君、誰だい?」
「残念ながら君のよく知ってる人!ではない事は確かなので名前なんか聞いてもわからないだろうから教えてあげないわよ?
あ、そこの人!できれば早くここから逃げて、そして出来れば、この事は誰にも言わないでいてくれたら凄く有難いんだけどぉ?」
サトコさんの必殺怖い笑顔が、さっきまで少年に絡まれてた男性に向けられていた。
男性は黙って何度もコクコクと頭を上下させながらガイドと一緒に走り去って行った。
ひょっしたら、あの男性は襲ってきた生意気な少年よりもサトコさんの満面の笑みの方が
恐怖だったかもしれない…
(きっと誰にも言わなさそうだな…というより、恐らく彼はこの後で記憶を消されるんだろうが…)
「サトコさん!」
俺達は思わず駆け寄った。
「あら、二人とも出てきちゃったの?」
「出てきちゃったの?じゃないですよ~(汗)一人で何やろうっていうんですかっ!」
「君達?今は僕を無視して仲良くおしゃべりしてる状況じゃないはずなんですが?
まぁ、いいでしょう…そろそろ複数を相手に本気で戦ってみたかった所です!
まとめて相手してもいいですよ?」
少年は時々メガネを触りながら少し大人ッぽい?余裕のあるような嫌なしゃべり方をするやつだった。
「君は、もう相手が人でも何でも見境ないんだよね?そんな馬鹿な屑ガキの相手は私一人で充分よ?」
(いや、サトコさんそれは無謀でしょ…)
「きさま~僕をクズって言ったな!」
さとこさんはジリジリと後ろに下がってきて蒼の横に行って蒼に耳打ちした。
「あのポンコツの分析は?」
「オマエ、自分で解析できねーのかよ?」
「余計な事にエネルギーを回せないのよ、お願い!」
「攻撃力、スピードはノーマルの120倍あたり、しかし防御はノーマルの30倍程度、外側のハリボテが無くなると、ノーマルまで落とせるかもな…そうすると相手のスピードが145倍ぐらいまで上がる可能性があるが…武器は両手両足、伸びはしないようだが風圧波があるので倍ぐらいの長さは見た方がいい」
「攻撃計測率とリンク率は?」
「自分のスピードが大きいため正確な計測は出来ないだろうし、あのスピードなら攻撃で相手に攻撃する隙を与えないようにできるだろうから計測にはエネルギーを使っていない可能性が高いな…リンクは100%マニュアル型だ」
「コアは?」
「さぁな…教科書通りなら腹か胸か頭のどこかだろ?」
「金属の装甲の下あたりって事よね…」
俺は二人の会話が凄過ぎて全く口出しができなかったが、なによりもサトコさんの豹変ぶりの方が驚きだったかも知れない。
「何の相談か知らないけどそんなこと無駄なのにね?いきますよ!ソフィア!」
少年は、なんかカッコつけてサトコさんを指さして叫んでいた。
それを鋭い顔で見たサトコさんはこちらを見ずに
「ありがとう、とりあえず行ってくるわね」
そう言うと物凄い早さで一気に横に移動していた。
サトコさんは少女のようなロボット?
(ロボットのような少女?まぁどっちでもいいか…(汗))
ソレとの距離をかなり取っているが、何度か物凄いスピードで近づかれ連続で攻撃を受けていた。
一応直撃は避けてはいるようだがダメージは確実に受けているだろう。

イメージ挿絵2

14.jpg

ブログでは章を分けていないのですが、一応章の区切りというので
物語のイメージ挿絵を入れてみました。
今回は遠い過去の出来事のワーンシーンという感じです。
石碑はデタラメではなくて、一応英語をルーンに変換してあるのですけど
管理人(作者?)は英語が苦手なので単語が並んでいるだけです(汗)
ルーンは結構有名なので(?)読める人がいるかもですね…。
少しだけネタバレすると、この石碑に書かれてる内容は遠い過去の予言に関する内容で
普通の人には読む事は出来ないものです。
また、必ずしも石碑という形ではありませんが、夢世界には沢山あって、
後々登場してくる真の(?)本編に関係するものになる感じかな…
まぁ…出て来るのは、まだまだ先のお話ですけどね。

Dream Quest 本編67

「どうしたの?」
そう聞くと少女は止まって答えようとしたが、彼女のガイドは、こちらに見向きもしないで少女の手を引っ張って何処かへ連れて行こうとしている。
「あのっ、ビクトリアが…アレが近くに来てるから逃げようって言うんです」
「アレ?」
「こないだ襲ってきた子だと…」
「そいつ今近くにいるの?って、君…そのこと覚えてるの?」
俺は思わず聞き返していた。
「え…あの、さっきまで忘れてたんですけど、ビクトリアがアレとか逃げるとかいうので、アレじゃあ何の事だかさっぱり分からないよ、なんでもかんでも逃げるのはもう嫌だよって怒鳴ったら…記憶を返して?くれて…それで今は思い出しました…」
「そいつ何処にいるの?」
「タツヤ君?」
サトコさんは俺の腕に手を当てて心配そうな顔をしていた。
「俺達は、たまたままだソイツと出会っていないだけで、どこかで、たまたまバッタリ会うと襲われる可能性があるんですよね?
ソイツがすぐ近くに居るって聞いても俺達はソイツの顔すら見ないまま、この場から撤退なんですか?
俺達は襲われた人にも会ってるし、今だって誰かが襲われているから近くにいるんですよね?
それでもし自分が襲われたら、とりあえず記憶を消して、めでたしめでたし!だって…そんなの冗談じゃないですよ…」
「彼らは強化パーツというのを高額の現金で買っては自分のガーディアンを強くしてる戦闘馬鹿ばかりなのよ!?蒼君でも勝てるかどうか…」
「タツヤがソイツの面ぐらいは見ておきたいと言うのなら俺様は別に構わんが?
ガーディアンとやらも、とりあえず見ておけば強さぐらいは解るだろ…
その代わり俺様が壊れても誰にも文句は言うなよ?タツヤ」
蒼は笑っているような顔をしているが、それ以上に緊張しているのも伝わってくる。
(蒼は、アイツらが近くにいるからデーターを既に見てて強さを知ってるのか?蒼には絶対勝てない…?)
俺は俺の自己満足なつまらない意地?正義感?で、浅はかな事を言ってしまった気がした。
(こんな事もっとよく調べてからでもよかったのに…今日とか今じゃ無くてもよかったはずなのに…)
「おい!辛気臭い顔してないで、見たいのか逃げたいのか忘れたいのかサッサと決めろ!」
「蒼…俺どんな奴か見てみたい」
「じゃあいくぞ!」
俺と蒼は、できるだけ足音を立てないように走りだした。
俺は振り返って少し大きな声で告げた。
「サトコさんは彼女達と逃げていてください」
俺と蒼は相手の声と相手の姿が確認できる程の場所で自分達は見えないように草陰に身をひそめて様子をうかがった。
俺は気になる事が幾つかあったので小声で蒼に尋ねた。
「ねぇ蒼、消去された記憶って元に戻せるのか?」
「消された記憶など簡単には戻らん!本人の記憶を戻したのではなくガイドの記憶を移したんだろうな?」
「そっか…ねぇ…蒼は相手の強さとかわかるから、もう知ってるんだよね?」
「全部が解るわけではないがな?」
「怖いとか戦いたくないとか、そんな風に思う事は無いのか?」
「残念だが何が怖いとか何が悲しいとか、他者を客観的に見て判別できるだけの情報としての知識は持っているが俺様自身は未経験の分野なので理解はできていない」
「ああ…そうなんだ…」
(蒼は生まれたばかりみたいなものだから出来事としての体験がないんだよな…でも蒼も戦ってどうしようもないほどに負けたら恐怖とか感じるようになるのかな?…)
「蒼…俺は怖いよ…?」
「何にだ?」
「えっ?何に?」
(そんな風に聞かれたら…いったい何が怖いんだろうな…負ける事が?傷つく事が?どうなるかわからないという事が?それとも全部?)
「よくわからないけど、たぶん全部まとめたら怖いになったんじゃないかな(苦笑)」
「それが人間の正常な状態の感覚というものだろ?俺様はタツヤの心とやらの中にある恐怖はどうする事もできないが、タツヤの外にある恐怖の原因ならなんとかしてやれるかも知れん…せいぜい期待しておけ!」
蒼は目の前の戦闘に集中しているようで俺の方を見ずにそう言った。
俺も、いつか誰かにそんな風に言えたらいいな…そんなことを考えていた。

Dream Quest 本編66

「あのっ、これ、どうやったら戻せるんでしょうか?」
少女の声のする方を見たけれど、どうやら今度は指輪への戻し方を聞いているらしい。
俺には分からない事だったので黙って槍を見ていた。
(アレは勝手に消えないんだな…)
「武器を戻す時…?消えてとか、戻れとか、ご苦労様とか、またねとか、そんなイメージで念じてみるといいと思うけど?」
サトコさんが少し首を傾げながら少女に答えた。
(気を抜くと消えるのも厄介そうだけど、消すのに念力がいるのも大変だな…)
少女は両手で槍を掴んで自分の前に掲げるように少し持ち上げて目をつぶった。
少女の口が、かすかに動いたが声は無かった。
槍は、そのままかき消すように消えていった。
「できた!」
少女は嬉しそうだった。
サトコさんと俺は少女を見てただ微笑んでいた。
少女は自分のガイドに報告でもしにいったのか向こうで2人で話し始めた。
サトコさんは辺りをキョロキョロ見まわしながら俺達に言った。
「もう此処には用は無いと思うからそろそろ移動しましょうか?タツヤ君行きたい所とかある?」
「えっ?戦闘訓練は終わりですか?俺まだ武器、思うように出せませんよ…」
「無理に戦闘しなくてもタツヤ君には蒼君が居るし脳に余計なストレスを感じさせるのもいいとは言えないから極力戦闘は回避する方向で行く方がいいかな?だし武器の出し方のコツとまではいかなかっただろうけど出せる感触はあったでしょ?」
「まぁ、武器は…でも、ガイドは戦闘用じゃないって言ってましたよね?」
「それは、普通のガイドは!でしょ(笑)」
「えええっ、そうなんですか!?」
(って、蒼は戦闘用に改造されたのか?)
俺は思わず蒼をジロジロと見てしまった…。
「一通り観光してみる?何なら今からでもいいけど」
「えっ?サトコさん会社の敷地内のような場所から一刻も早く出たいでしょう?」
「それはそうだけど別にバレないんじゃないかと思うし、一度外に出ちゃうと戻ってくる事は無いと思うし、悪夢で疲れた脳を、どこかで癒してもらおうかな?とかね」
サトコさんはそう言って少し照れたように笑った。
「でも、この前の事件とかで部外者への監視が強化されてるかも知れなくないですか?」
「それは無いと思うな~ここは占有地でも私有地でもないから、部外者が居ても出て行けとも言えないし、捕まえるわけにもいかないので、こっそりスキャンして参考データーにするぐらいじゃないかな?蒼君、セキュリティスキャンは動いてるのかな?」
「エリアの出入口にあったぐらいじゃないか?特に数が増やされた感はない」
「まぁ、でもタツヤ君達って一応部外者を2名も連れて行動してるわけだから多少は目立ちもするし、会社がそれを不審がったら私達は観察対象になる可能性はあるのよね…やっぱり念のために長居は無用かな…」
俺は行った事も無い面白そうな場所なら何処でも行ってみたいとは思ってた。
(何処かの企業が手を加えて造ってある場所から離れて真の夢世界へ…かぁ
もう戻らない予定なんだよなぁ?何処か行きたい場所…行き忘れてる場所…)
俺はふと昨日の事件の事を思い出していた。
「そういえば、あの女の子…昨日の事忘れてるのかな?」
「いくら夢とはいえ、あれだけの事を、まさか忘れるわけはないでしょう?」
サトコさんは昨日の事件に対する社の対応を知らないようである。
俺と蒼は何となく顔を向き合わせていた。
「どうしたの2人とも?」
サトコさんは不思議そうに尋ねた。
「あの…ガーディアンとかいうのを使う連中ってどこにいるんですか?
別の社の領地になるんですよね?蒼は、そいつらより強いんですか?」
「どうしたの急に?」
「戦闘する意思も無い人に無理やり戦闘を仕掛けて一方的に勝利して、それが自分の強さだと勘違いして、いい気になっている馬鹿ガキなんですよね?そいつ放っとくと、これからも犠牲者が出るんでしょ?もし、できるのならば…やめさせたいと思って…」
「う~ん、無理と言うか無駄だと思うのよ?現犯人をこらしめてやめさせる事ができたとしても第2第3の馬鹿が現れると思うわ…なんせ馬鹿を量産する事で儲けている会社だからね…でも急にどうしたの?」
「社が…もしモニターが他者に襲われたら…その時はガイドが、その記憶を抹消して事を納めるって…」
「そんな事になってたの…?」
俺達がそんな話をしていると少女が2人でバタバタとこちらに駆けてきた。

Dream Quest 本編65

その真ん中あたりに座りこんでいる人がいた。
(デッドか?)
近づいてみるとデッドが顔をあげて、ぼんやりとした感じで俺達を見た。
見た限り大きな外傷があるような感じは無い。
俺は、ふとデッドの手元を見た。
(あれは鞭か?)
俺の視線に気がついたのかデッドは力なく鞭に目をやりながら話し始めた。
「これね…僕の愛用品なんだよ」
(げっ、鞭を愛用してるって?なんなんだコイツ(汗))
「こんな風に使えるとは予想外だったけどね~」
(へ?普段、鞭をどんな風に使ってるんだ?)
「デッド君、大丈夫?」
サトコさんが心配そうに尋ねた。
「うん、たぶんね…ねぇ、マジックハンドって知ってる?」
(ハンドパワーというやつか?)
「遠くの物を取ってくれる伸びる手みたいなやつかしら?」
(ああ…あれそんな名前だったか(汗))
「うん、それでね紐…縄っていうのかな?そういうの使うとね…マジックハンドみたいに
遠くの物が取れるんだよ…知ってた?
僕は、いつもそうやって遠くの物を取ってたんだ…」
(歩いて取りに行った方が早くないか?まぁ、そういう変な?特技を極めたいとか思う人とか世の中には結構いるけどな…)
「最初の頃は紐を投げると周りの物を吹きとばしたりして中々うまくいかなかったんだよ…
最近やっとピンポイントで物を絡める事が出来るようになってね…
だからさ…ビューンって振り回したら紐に当たってしまった物が全部吹っ飛んじゃう事
すっかり忘れてたんだよね…
でも、思い出せて…よかった…」
(ここらのゴキ軍団は、そのビューンとやらに一掃されたってわけか…しかし見事だな)
そう言うとデッドは静かに目を閉じた。
そして体が少し発光したかと思うと、すっと音も無く消えてしまった。
「き、き、消えましたよ!?」
おれは驚いてサトコさんの方を向いて口をパクパクさせていた。
サトコさんはデッドの居た辺りを見つめながらポツリと言った。
「デッド君、寝てしまったんだと思う、ちょっと過激すぎて脳が疲労しちゃったかしらね…」
(ああ、寝たのか…びっくりした…)
「寝ながら疲労するんですか?疲労回復に寝てるのでは?」
「睡眠って疲労回復だけが目的ではなくて、その時にしか出来ない仕事などもしてる。
夢もその1つでしょ?でも脳の記憶って言っても1種類しか無いわけではなくて多くの部署があるみたいな感じなのね、そして思考や感情とかは全然別の部署になる。
全身から送られてくる情報に的確に指示を送ったりするのも、また別の部署ね。
とにかく、脳にはいっぱい部署があるのよ…
身体を休めようと言う部署と、普段夢を見させている部署と、夢を見たために影響を受けてしまう部署は、それぞれ違うっていえばどんな感じかわかるかな?
当然、脳自体も適当に休まなければならないしね」
「の、脳も色々大変なんですね…」
「あなた達も今日は、とんでもない悪夢だったはずだから、きっと疲れていると思うわ。
今日はもうここを出て早めに休みましょうか?」
「あは…」
(とんでもない悪夢…まぁその通りだな(苦笑))
俺と女の子は無言でうなずいていた。
俺達は洞窟の帰り道、もう怖いとかキモイとか、そういう感情は全く消えていた。
這ってくるゴキは蹴飛ばして、飛んでくるゴキは叩き落として、なんとも…たくましく歩いて出てきた。
出口らしき明るい光が見えもうゴキとの格闘も終わったと思えた瞬間、俺の手からスリッパは消えていた。
(あれ…俺のスリッパ消えてる…)
俺は自分の手を見た後、少女の方を見た。
(あの子の槍は、まだ消えてないんだな)
そして次にサトコさんを見た。
(特に武器を持ってる感じは無さそうだけど…サトコさんは、ずっと武器を持ってたというより必要な時だけ出せる風だったしな…)
俺は、また自分の手を見て掴んでた時の感触を思い出しながら今武器が出せるかどうか、こっそりやってみたが何も出せなかった。
(やっぱり窮地とかでないと無理なのかな…)
その時、大きな槍を抱えてオロオロしながら少女が何かを聞いてきた。

Dream Quest 本編64

12.jpg
その後、俺達は洞窟を進みながら寄ってくるゴキ共を適当に叩き落として誰かが居そうな気配のする方へ急いだ。
走っていると、とても大きく立派な槍を抱えて壁を背に立っている少女が居た。
俺は、またしてもとっさにスリッパを後ろに隠していた。
少女は俺達に気が付いて話しかけてきた。
「あっ!みなさん…私、槍だせましたよ」
そう言いながら立派な槍を両手で握って俺達に見せるように前に立て掛けて嬉しそうに笑っていた。
「よかったわね」
サトコさんは、そう言ったが俺は何も言えず少しニコっとしただけで黙っていた。
「みなさんは?」
そう言って首を傾げる少女に、サトコさんは俺に見せたように自分の武器を胸のあたりに無言で出して見せていた。
少女はそれをみて、そして次に俺を見た。
サトコさんも自分の武器を出したままのポーズで顔だけ俺の方を向けた。
蒼も何故か皆と同じように俺の方をじっと見ていた。
俺は3人の視線が痛かった…
(うわー3人揃って、そんな期待に満ちた目で見ないでくれ~)
俺は仕方なく後ろに回してた手を前に出した。
少女は穴があくほど俺の手にあるスリッパを眺めていた。
俺はきっと大爆笑されるだろうと思っていたが、少女は意外にもクスリともせず真面目な顔で言った。
「みなさん、場所と敵に合わせた武器って感じでいいですよね~私の武器とっても重いですし大き過ぎて動かすと、あっちこっちにガンガンぶつけてしまって、うまく戦えないし、
あっちこっちにぶつかる振動や反動が結構なダメージで…
結局、真ん中ぐらいを持ってペチペチ叩くのが精いっぱいなんです…」
少女は大きなため息をついていた。
「槍が嫌なら捨ててもいいのよ?あなたは、それを持っている限り武器としては常にソレが優先されてソレしか出す事も使う事も出来ないと思う。
私達は常に1から自作しなければいけないけど、そのかわりイメージによって武器を変える事ができるわ」
サトコさんがそう言うと、少女は取られそうになった人形を抱きしめるかのように槍を抱きしめた。
「私は槍でないと駄目なんです…だって私はアテナですから」
そう言いながら少女は、思いつめたような目をした。
「あなたの好みや事情に口を出す気は無いの!ただ知識として知っておいてというだけ。
それにあなたの武器は他にもあるのだしね?」
サトコさんがそう言うと少女は黙ってうなずいた。
俺は、なんとなく二人の会話を聞き流し、デッドの気配を探してみたが全くわからなかった。
気配と言っても音や声がする方向というだけのものだが音らしい音は何も聞こえてこないのだ。
「なんか静かですよね?」
「そういえばそうね…」
「ゴキ軍団にやられちゃったんでしょうか?」
「さすがに、それは無いと思うけど…」
「蒼、デッドは?」
「普通に生きてるが?」
「俺はどこ?って聞いたつもりなんだけど?」
「だったらどこ?まで言ってもらわないとわからんぞ?」
「今度から気を付けるよっ!」
俺には蒼が真面目に返答してるのか良く分からない時がある。
恐らく全部真面目に言ってるんだろうとは思うが正直たまにイラッとさせられる。
「お二人はとっても仲良しなんですね」
少女は尊敬のまなざしで俺の顔を下から覗きこむように見ていた。
「えっ?」
俺は少女が何を言ってるのかよくわからずにいた。
「ガイドが蒼君みたいに感情豊かなのは稀で珍しいのよ?」
サトコさんは通りすがりの独り言のように俺にしか聞こえない程の小さい声でボソっと言いながら俺の横を足早に通り抜けて行きクルリと振り返って
「早く行きましょ」
と笑った。
(前も似たような話を聞いたような気がする…言いたい事言って、ぶつかって、イラついて、それは普通のガイドを持つ人から見たら、羨ましい光景なのかな?)
俺は少女の方を見て
「そうなのかな?」
と少し首を傾げて笑いながら答えた。
「そうですよっ!?私もがんばろっ」
少女はニコっと笑って小さくガッツポーズをした後サトコさんの隣まで走って行った。
俺は何となくモヤモヤしてたのが消えたような気分になって自然と蒼の隣に行っていた。
蒼は寄ってくるゴキを手で払いのけていた。
むしろ、払い除けてくれていたと言うべきかも知れない。
蒼にとっては単に仕事とか役目とか、そうするようにプログラミングされているだけ…というものなのかも知れない、だけど俺にはそんな事はどうでもよくて、当たり前になりつつある、この時間や空間が何となく心地よく感じていた。
暫く行くと少し広い場所に出た。

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